随想 空即空(連載130)兵役拒否を巡って

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随想 空即空(連載130)兵役拒否を巡って

清水正 

 鑑三の教訓、説得はわたしには欺瞞に見える。戦争に反対する者が兵役を拒否するのは当たり前のことであり、戦争に反対する者が兵役を受け入れることは真理に反することであることは小学生にも分かることである。鑑三は〈不敬事件〉の時にも、曖昧な態度をとっていたが、ここでも実に曖昧な態度に終始している。宗次郎が鑑三の教訓に納得しているのは、彼が鑑三の論理の矛盾を看破できなかったことによる。宗次郎は鑑三の影響を深く受けていただけに、鑑三の言説に幻惑されたとしか思えない。もし宗次郎がイエスの言葉に従うことに真理を見いだしていれば、鑑三の言説の矛盾とその欺瞞に誑かされることはなかったであろう。

 宗次郎が事を決するにあたり、予め鑑三に手紙を出していたことは、一見宗次郎の礼儀正しさを証明しているかのように見えるが、同時にここには宗次郎の弱さとしたたかさを読みとることもできる。鑑三はそのことを敏感に察していたであろう。だからこそ鑑三は自らの説得に応じた宗次郎に向かって「今朝あのように語つたが、然し若し、良心の命令であるならば、やれ」と口にしたのである。これは聞きようによってはかなり厳しい言葉であるが、同時に鑑三自身の巧妙極まる欺瞞の表出ともなっている。もし宗次郎が〈良心の命令〉によって兵役拒否を実行するつもりなら、わざわざそのことを事前に鑑三に知らせる必要はなかっただろう。宗次郎が鑑三に手紙を書き、鑑三が実際に会って説得するとそれに従うということは、宗次郎に確固とした信念がなかったことを露呈している。

 宗次郎の文章を読む限り、宗次郎が鑑三の教訓に激しく抵抗したり、自分の覚悟を改めて表明したり、鑑三自身の態度を問いつめたりすることはまったくなかったように見える。宗次郎にとって鑑三は常に仰ぎ見るカリスマ的存在であり、鑑三の教訓に疑問を差し挟むことなどのっけからタブーであったのだろうか。こういった師弟関係が支配的である時、師匠は絶対であり、弟子は師匠の前に隷従するほかはない。真のキリスト教徒なら、師匠よりも神を絶対視するであろうが、師匠の教訓に納得してしまった宗次郎はイエスの言葉を裏切る者となった。しかし、宗次郎にその自覚と認識はない。宗次郎は鑑三が口にした「良心の命令であるならば、やれ」を徹底的に検証し、自らの覚悟とその撤回を妥協なく反省しなければならなかったはずである。

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