随想 空即空(連載159)兵役拒否を巡って

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随想 空即空(連載159)兵役拒否を巡って

清水正  

 ここで内村鑑三の〈不敬事件〉(明治24年1月9日)を振り返っておこう。鑑三の信仰上の根源的な問題が〈不敬事件〉に顕在化していたことを確認しておく必要がある。鑑三は教育勅語(宸署)に対してチョットしか頭を下げなかった。つまり誰が見ても納得がいくような礼拝をしなかった。これが同僚の教師や学生たちの怒りをかって大問題へと発展していったわけだが、当時の新聞や雑誌の記事を読めば大半が鑑三批判に終始している。鑑三は国賊と見做され、結果として職を解かれている。幸か不幸か免職は免れたが、職を失ったことにかわりはない。鑑三は現実を直視して冷静に判断を下すことができない。時の政府が天皇を中心とした近代国家建設のためにあらゆる手段を駆使して尽力している時に、それにわざわざ水をかけるような事をしたらどうなるか、その不可避の現実を直視する認識能力に欠けている。鑑三(嘱託教員)の同僚教師でキリスト教徒でもあった木村駿吉(教授)と中島力造(嘱託教員)の二人は当日、打ち合わせでもしていたかのように欠席を決め込んでいる。少なくともこの二人は事(勅語奉読式)の重要性を予め認識し、予測される面倒を避ける途を選んだことになる。キリスト教徒のなかでどうして鑑三だけが出席することになったのか詳細は不明だが、いずれにしても鑑三が面倒な人間と見做され、あまり必要以上に係わることを避けられていたのかも知れない。

 なぜ鑑三は宸署に対してきちんと礼拝しなかったのか。チョットしか頭を下げなかったことのうちに真実は隠されている。鑑三はキリスト教徒であるから、聖書が禁ずる偶像崇拝をすることはできない。しかし、当時の大多数の日本人にとって、宸署は御真影に匹敵するものとして認識されていた。鑑三がこれに正式な礼拝をすることは紛れもなく偶像を崇拝したことになる。キリスト教徒鑑三はなんとしてでも偶像崇拝は避けたかったが、しかし宸署に対して礼拝を拒めば不敬として非難されることも確かであった。いずれにしろ、現人神天皇と神に対して毅然とした態度をとれなかったその精神の迷いが、結果としてチョット頭を下げるという中途半端な態度を招き寄せてしまった。キリスト教徒はその教義からして二つの神を信じることは厳しく禁じられている。はっきり言えば、勅語奉読式における鑑三の曖昧な態度は彼がキリスト教徒でもなければ、天皇を神とする国家主義者でもなかったことを明確に晒している。しかし鑑三は晩年に至るまで〈二つのJ〉を崇め奉ってはばからなかった。このことを賛美するキリスト教徒は多いが、その欺瞞と矛盾を突く者はいない。鑑三の信じるキリスト教は根本的な地点から検証し直さなければならない。その意味でも井上哲次郎の「教育と宗教の衝突」の論文は貴重である。この論文は内村鑑三はもとより、彼の弟子たちにもきわめて不評であるが、鑑三の信仰自体に疑問を持つ者にとっては熟読に値する重要な論文である。

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