随想 空即空(連載133)兵役拒否を巡って

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随想 空即空(連載133)兵役拒否を巡って

清水正 

 

 齋藤宗次郎は『恩師言――内村鑑三言行録・ひとりの弟子による』(一九八六年四月 教文館)で次のように書いている。

 

 「余は先生との初対面に於て、十字架の信仰に活くるクリスチャンの態度を親しく目撃し、感受し得たるは真に大なる幸福であった。」(19)

  「東北人の腰抜けには驚き入った。免職や休職位で人を苦しめようと思って居るからな。無論それをやられたら困るに相違ない。然し我等には聖書もあれば神もあり天国もあるからな、少しも失望することはないよ。」(32)

 「新聞記者なんかが、他人の悪口をするが、彼等には世の悪より外に見えない。之を如何にして生気あらしむるかに就ては少しも耳を傾けべき様の事を言わない。財産を平等にせよとか、貴族を斃せとか叫ぶ位のものだ。」(33)

 「諸君の談話の中に僕の名が沢山に含んであるが、私は此会に於て諸君の此希望を失望さしてやろう。私は只水を運ぶ桶たるに過ぎない。桶は無論用あるが、桶は人の渇に向って直接に功あるものではない。私は運水の功が或は有るであろう。然し重ねて僕の名を明かに言う必要はない。僕を忘れて神を讃美せよ。」(33)

 「基督教に師弟という事はない。皆兄弟姉妹である。東洋流の師弟ということは此会に於て全く打破しなければならぬ。

 「日本現時の青年は現代に於て理想的人物を求めんとして居るから、人物ありと聞けば彼方此方と刺を通じて窺わんとする。然しながら現代否何時の世でも決して理想的人物というものは有るべき理がないから、彼等は忽ち失望し瞬間にして先生と称せし人に背き、此に唾して去ってしもう。実に憐れむべく又憎むべき事だ。」(33)

 

 宗次郎は恩師内村鑑三の講演をはじめ、雑談における発言まで丁寧に記録している。まるで録音機を携帯していたかのように忠実に恩師の言葉を残している。鑑三の言葉に対する批評がましい意見はまったくない。この記録行為そのものが宗次郎の鑑三に対する敬愛の念の証となっている。

    わたしも『恩師言』を読みながら随所で感動の念にかられた。宗次郎に映る鑑三は紛れもなく師匠であり、鑑三の言う〈兄弟姉妹〉の域を超えている。鑑三は〈先生〉に関して「私は只諸君より先きに生れたという事、諸君より先きに基督教を信じたという事、諸君より多く戦った経験を有って居るという事、此三件は確かに所有する。夫れ故に其の様な事に対しては其う切り抜けべきだということを語ることは出来る。此他に於ては先生でも師でもない。諸君が角筈を去る時には、内村という名を全く忘れて神を讃美して帰るべきだ」(34)と言っている。鑑三のこの言葉を素直に受け止めれば、鑑三は宗次郎にとって先生であることに間違いはない。

    鑑三に近づき、離れていった者は志賀直哉小山内薫有島武郎はじめ決して少なくはなかった。鑑三がそのことを「実に憐れむべく又憎むべき事だ」と思っていたことは確かだろう。先生と敬愛する理想的人物の像が崩壊すれば、もはや心の底から師事することはできない。特に人間の真実の姿を徹底的に追及する小説家にあって、芝居や小説や落語を受け入れられない鑑三の教えにそのまま従うことは困難であったろう。

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