随想 空即空(連載116)内村鑑三の不敬事件を巡って

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清水正

 

 

連載116

 内村鑑三の曖昧な態度に対して疑問と怒りを露わにした学生たちが、どれほど自分たちの行動を論理的に正当化できるのだろうか。彼らのうち、内村鑑三の〈不敬事件〉に対して、自分の言葉で自分の意見を発表した者があるのだろうか。時の政府は西欧列強に対抗できる強固な国家建設を目指していた。そのためには日本人の心を一つにしなければならない。宗教的絶対的な精神的支えとして日本独自の神道が採択された。天皇は単に皇室の頂点をなすべきものから、日本人の精神的支柱としての〈神〉となった。謂わばこの時、天皇一神教の〈神〉と同等の、日本人にとっての唯一絶対の神となったのである。仏教各派のうち日連宗は法華経を絶対視して他の宗派の殲滅をはかるほどの過激な宗派であったが、政府の断固とした宗教政策の前に屈服した。最後まで抵抗したのが創価学会の初代会長に収まった牧口常三郎とその弟子戸田城聖であった。

 平時において過激なことを主張している宗教団体も、いざ時の政府と真っ正面から対峙するとなれば大弾圧を覚悟しなければならない。宗教各派はもとより、大半の国民は時の政府の方針に順応するほかはない。内村鑑三の不敬に対して大声をあげて抗議したような学生は時の政府の方針を積極的に支持していたのだろうが、学生全員がそうであったと見ることは危険だろう。過激な反応に反撥を覚えながらも静観していた学生もいたはずで、いつの時代でもジャーナリズムは事を大袈裟にセンセーショナルに伝える性格を持っている。つまり内村鑑三の〈不敬〉はジャーナリズムによって大きく事件化されたとも言える。

 〈キリスト教徒〉内村鑑三の〈不敬〉は日本政府が目指していた根本的な方針に逆らう危険な事として注目され、大袈裟に報道されたのである。天皇を現人神とする政府の方針が、偶像崇拝を認めないキリスト教の根本教義と調和することは絶対にない。内村鑑三はそのことの自覚が足りないからこそ、肝心要の場面で断固とした態度を取れない。その意味では鑑三の曖昧な態度に毅然として抗議した学生たちのほうが、よほど〈不敬〉の本質を看破していたと言えよう。鑑三はキリスト教徒である自分が、同僚の教師や学生たちからどのような眼差しで見られていたのかに関して鈍感過ぎるし、奇妙なプライドが勝ちすぎて、自分の置かれた立場を客観的に見る視点を著しく欠いている。こういった自己認識の甘い絶対主義者は、いつでもどこでもトラブルメーカーとなってしまうのである。

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