帯状疱疹後神経痛と共に読むドストエフスキー(連載30) 師匠と弟子

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帯状疱疹後神経痛と共に読むドストエフスキー(連載30)

師匠と弟子

清水正

夜が明けるとすぐに、祭司長たちをはじめ、長老、律法学者たちと、全議会とは協議をこらしたすえ、イエスを縛って連れ出し、ピラトに引き渡した。
  ピラトはイエスを尋ねた。「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」イエスは答えて言われた。「そのとおりです。」
  そこで、祭司長たちはイエスをきびしく訴えた。
  ピラトはもう一度イエスに尋ねて言った。「何も答えないのですか。見なさい。彼らはあんなにまであなたを訴えているのです。」
  それでも、イエスは何もお答えにならなかった。それにはピラトも驚いた。(マルコ福音書15章1~5節)

 イエスは大祭司に「あなたは、ほむべき方の子、キリストですか」と尋ねられて「わたしは、それです」と答えた。ここでも、ピラトに「あなたは、ユダヤ人の王ですか」と問われて、すぐに「そのとおりです」と答えている。
 イエスは自分が〈ほむべき方の子〉〈キリスト〉〈ユダヤ人の王〉であることを認めた。そのことでイエスは死罪を引き受けた。もしイエスが沈黙を守り通せば、彼を死罪にすることは難しかったであろう。
 イエスは布教の最初から自分の存在をキリストと見なしていたのか。それともただの人の子と見なしていたのか。この点が微妙である。わたしは、ここでは人の子イエスを浮き彫りにしたいと思っている。もしイエスが自分をキリストと思っていたのなら、最初からそのことをはっきり公言すればよかったと思う。イエスは、ペテロがイエスをキリストであると口にした時も、そのことを口外してはならないと言っている。なぜ、イエスはこのような微妙な、曖昧な態度を取ったのか。
 イエスはマリアとヨセフとの間に生まれたナザレの人であってどうしていけないのか。ただの人イエスの言動が祭司長たちの立場を危うくする強大な力を発揮することによって、イエスは最終的には十字架上で殺されることになった。イエスを一人の人間とのみ見なせば、十字架上で死んだイエスが三日後に復活することはない。
    イエスがキリストであることによって十字架上の死と復活は意味を持つ。が、イエスが人間イエスにとどまっていれば、福音書で書かれたような復活はない。生前のイエスと実存的同時性を獲得した時、まさにその時イエスはその人の内に復活したとは言える。

 

   ドストエフスキー文学に関心のあるひとはぜひご覧ください。

清水正先生大勤労感謝祭」の記念講演会の録画です。

https://www.youtube.com/watch?v=_a6TPEBWvmw&t=1s

 

www.youtube.com

 

 「池田大作の『人間革命』を語る──ドストエフスキー文学との関連において──」

動画「清水正チャンネル」で観ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=bKlpsJTBPhc

 

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これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。

ドストエフスキー『罪と罰』における死と復活のドラマ(2015/11/17)【清水正チャンネル】 - YouTube

 

 https://www.youtube.com/watch?v=KuHtXhOqA5g&t=901s

https://www.youtube.com/watch?v=b7TWOEW1yV4