小林リズムの紙のむだづかい(連載275)

小林リズムの紙のむだづかい(連載275)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
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清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載275)
小林リズム
   【受け取れない症候群】

  

 
 とある男性芸能人が、バラエティー番組のなかで「人から物をもらうのが好きじゃない。彼女からもプレゼントは欲しくない」と言っていた。会場内はどよめきが走っていたのだけれど、なんだかわかるなぁ…と少し共感した。もちろん「ひたすら与えるのが好きなの」といった愛に満ちた人間だからではない。単純に、受け取ることが負担なのだ。何かこまごましたご当地のお土産だとか、変わった雑貨とか、そういう役に立たないような面白いものをプレゼントしてもらうのは好きだけれど、すごく高価なものや雑誌に掲載してあるような流行りものは、なんとなく怖気づいてしまう。気持ちは嬉しいけど、ちょっと…。いただけません…。スミマセン…。

 大切にできなかったらどうしよう…、壊してしまったら…。という思いはもちろんある。けれど何よりも先に思うのは「お返しどうしよう!」という焦りだ。反射的にぶるぶるっと震えてしまうギブ&テイク精神。もらったら返さないと…嗚呼…重いなぁ…。そして悩んだ挙句、同じものを返せるとは思えないから受け取れない。せっかくだけど…と丁重にお返しする。

 問題なのは、これが物だからではない。わたしの場合は人の感情なのだ。これは恋愛感情に限った話ではない。人からの期待や、優しさや気遣いも受け取るのが怖い。ごめん、それわたしがもらっても…同じもの返せないよ…?と自己申告したくなる。それでも相手が気付かずににっこりと笑って渡してくると、多額の負債を抱えてしまったような焦燥感に襲われる。相手は何か勘違いしてわたしに投資しようとしている。とてもじゃないけれど、返せる額じゃない…。嬉しさよりも先立つその感情に、うまく対処できない。だからあらかじめ忠告するのだ。「高価なものってさー、興味ないんだよねー」もしくは「わたし、高価なものって似合わないからー」。大声をあげてそう叫ぶ。受け取らなければ、一切の責任を負わなくてもいい。そう割り切りながら、わたしはこれまで自分が責任感や思いやりのない人間なんだと思い続けてきたのだった。

 けれど、もう少し踏み込んだら少し違う世界が見えた。責任を負いたくないというその下にあるもうひとつの層。それは、異様なまでの「傷つきたくない」という弱い感情だった。期待を裏切りたくない、これ以上失敗したくない、「ダメじゃん、こいつ」って思われたくない、劣等感を持ちたくない…。触れようとするなら、突き返せ…!そのことに気づいたら、ふっと気持ちが軽くなって笑ってしまった。そりゃあ、傷つきたくないよね。失敗だってしたくないし、みじめにだってなりたくないよねぇ、と。今までずいぶんと自分を強固に守り続けてきた。そしてそれに触れさせることを決して人に許さず、そのくせ誰も触れてくれないのだとひとりでふて腐れた。まったく、なんて手のかかる奴だ…。わたしはこれから先も一生付き合い続けなければいけない自分と、ようやく一緒にスタートラインに立った気がする。
   
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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