星エリナのほろよいハイボール(連載31)

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星エリナのほろよいハイボール(連載31)


ハナミズキを伐る


 庭のハナミズキとは、もう19年のおつきあい。この家と同じ年。はじめは1メートル弱くらいだったが、いまとなっては二階よりも高くなってたくさん太い枝も生えた。南側に庭があるのだが、ハナミズキの大きな枝と多量の葉により庭の日当たりが悪くなっている。というのは、我が家には手入れをする人がいなくなってしまったからだ。
 両親共働きで、植えた当初は家の近くに住んでいる祖母と祖父が庭の手入れをする予定だった。だから花壇もつくって、簡単なチューリップなどを植えていた。それから薔薇を植え、小さな家庭菜園をつくりきゅうりやぶどう、柿の木も植えた。私が小学生のころはきらきらとしたフラワーガーデンになったのだ。
 それから時は流れ、だんだん大人になった私。つまり、祖父母は老けていった。祖父に先立たれた祖母は認知症になった。それでも庭をいじることは好きなようで、よく草むしりをしていた。さらに成長する私、さらに老ける祖母。次第に介護が必要になり、デイサービスへ通い、庭をいじることはできなくなっていった。
 こうして次第に庭の手入れができなくなり、ハナミズキはとても大きくなって、薔薇も大きくなって、柿の木も大きくなって。お庭はプチジャングルになってしまったのだ。
 さて、祖母が死んでから、叔母が祖母の家に越してきた。叔母が住んでいた家は売るらしい。もともとリフォームしてから住もうと思っていたのだが、ご近所トラブルに巻き込まれ、そこに住むことがいやになってしまったみたい。
 そんな叔母が我が庭を見て、ひとこと。
「これ、伐っちゃお」
 ハナミズキの伐採がはじまった。あんなにもくもくとしたきのこ雲みたいなカタチだったハナミズキはこの一言で寒そうな木になってしまった。でも、叔母に言わせると、ちゃんと手入れをしないほうがかわいそうだって。木が死んでるからすぐに伐れちゃったよ、とのこと。我が庭の手入れをはじめた叔母はハナミズキだけでなく、薔薇の手入れもしてくれて、雑草が生い茂っていた花壇もすっかりきれいにしてくれた。
 きれいに茶色い土が見えてる花壇を久しぶりに見た。そういえば小学生のころは、赤いレンガで囲まれたこの花壇に、チューリップが咲いていたなー、と小さな思い出にふける秋のはじまりでした。



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