我孫子市民プラザで開催の「モンステラアート展」を見る(続)
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清水正の著作 D文学研究会発行本 グッドプロフェッサー
前回、我孫子市民プラザで開催の「モンステラアート展」に展示されていた及川政子さんと木村利加子さんの絵を紹介したが、この展示会に出品された作品はほかにも心に残るものが多かった。その一つに松本昭子さんの「小さな教会」と「Town」があった。わたしは一通り絵を見た後、受付にいた島崎純造さんと加藤奈美子さんにお話しをうかがった。前回とりあげた木村さんはグレープパインという絵画教室の主宰者で及川さんはそのお弟子さんということであった。松本さんはモンステラグループの主宰者ということであった。木村さんと松本さんの作品は長年にわたって絵を描きつづけたひとの修行の歴史がキャンバスにしっかりと刻印されている。「小さな教会」には奇妙な奥行きが感じられ、作者の教会や信仰に対する思いが反映しているように思えた。精神の深部における懐疑と信仰が、闇と光のなかで揺らぎ、惑いながら静かな祈りに昇華されている。小さなキャンバスに作者の凝縮された思いが〈教会〉の姿のうちに表現され、見る者の心に迫ってくる。この小さな絵を凝視していると作者の内部光景が垣間見えてくる。光を孕んだ闇は、作者のさまざまな思いを呑み込んで、不気味なほどの静けさを放っている。
松本昭子「小さな教会」