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随想 空即空(連載121)内村鑑三の不敬事件を巡って

清水正 

 勅語(宸筆)の前に進み出て〈礼拝的低頭〉をせよと命じたのは、この日(明治二十四年一月九日)病気で欠席していた木下広次校長(四十一歳)の代理を務めていた久原躬弦(教授、三十七歳)であり、鑑三の曖昧な低頭に対して抗議非難したのは岡田良平(教授、二十八歳)、北条時敬(嘱託教員、三十四歳)、川田正澂(嘱託教員、二十九歳)等であった。つまり、鑑三の態度を激しく非難した何人かの同僚たちの声が、〈鑑三=不敬=国賊〉という空気をつくりあげ、それを醸成していった。もちろん鑑三を擁護する教員、学生もいたはずだが、彼らの声は醸成された〈空気〉を払いのけることはできなかった。なにしろ鑑三を批判する〈空気〉は時の国家体制に即応したものであり、この〈空気〉に逆らう者は自らもまた国賊に荷担する者と見なされる危険があった。この危険度は、キリスト教徒にあってはそうでない者より何倍も高かったであろう。

 今日ではすでに多くのひとに認められ常識になっているが、多くの日本人はキリスト教の教義を受け入れがたいのである。なぜ日本人はキリスト教を受け入れないのか? 山本七平はこの疑問を徹底的に追及し、そこから「空気の研究」をものにした。ユダヤ教徒キリスト教徒、イスラム教徒などにとってエホバ(ヤハウェアッラー)は唯一絶対の全能の神として君臨しているが、日本人にとっての神は〈空気〉ということになる。日本人の大半は〈無宗教〉を自認しているが、実は〈空気〉という神に支配された〈日本教〉信者なのである。

 この観点から鑑三の信仰を検証して見ると、彼の思いとは別に、実に日本的な曖昧さを内包していることが浮き彫りになる。これは一人内村鑑三ばかりではなく、多くの日本人のキリスト教徒にも言えよう。日本人のイエス・キリスト解釈は多分に曖昧で、いったい彼らは何をもって〈イエス〉と見なしているのか、今まで十分に納得のいく見解に出会ったことはない。何度でも繰り返すが、鑑三は〈イエス〉の何たるかを知らぬままに、自らの良心に背き、先輩たちの強制に屈して「イエスを信ずる者たちの契約」に署名したのである。

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随想 空即空(連載120)内村鑑三の不敬事件を巡って

清水正 

 〈不敬事件〉が起きたその日、二人のキリスト教徒である木村駿吉(教授)と中島力造(嘱託教員)が欠勤している。なぜ彼ら二人は欠勤したのか、小沢三郎の『内村鑑三と不敬事件』を読んでも詳しい事情は分からない。何か、不穏な空気を予め感じて慎重に身を処したのかもしれないし、欠勤は二人で相談した結果であったかもしれない。もしそうだとすれば、鑑三は彼ら二人とも親密な関係にあったとは思えない。鑑三の非妥協的、一途な性格は日本的な忖度や柔軟性を欠いており、同じキリスト教徒であっても腹を割った親密な関係は持てなかったのであろう。まさに鑑三は山本七平の言う〈空気〉を読めない無粋な男であり、植村正久の言う〈痴愚な当局者〉が作り出す児戯に類する習俗の罠にかかりやすいキリスト教徒だったのである。おしなべて鑑三は事にあたって柔軟な姿勢で対応することができない。あいまいに頭を下げたことをとがめられ、再度敬礼することを求められた時、瞬時に周りの〈空気〉を読んで、誰にでも分かるように頭を下げられるような鑑三であったなら〈不敬事件〉などでっち上げられることもなかったであろう。

 鑑三が〈不敬事件〉によって同僚の教師や学生、世間から弾劾され職を辞さなければならなかったということは、すでに日本国内に天皇を絶対的統治者とする国家体制が構築されていたことを意味している。弾劾者は当時支配的になりつつあった天皇を中心とした国家主義的な〈空気〉を敏感に察し、それに乗じていた側面もあろう。国粋主義国家主義的な空気が支配的になれば、一個人の意見や思想などなんなく呑み込んでしまうのである。鑑三の〈不敬事件〉は未だその予兆としての典型的な津波被害であったとも言えるが、時代が国粋主義に反する個人の自由と信仰を束縛する方向に向かっていたことは確かであろう。

    教育現場における学校の当局者がこういった空気に極度に敏感で、植村正久の言う〈妄想〉にとりつかれる傾向にあることはいつの時代も同じである。彼らに独創的な教育理念や思想があるわけではない。彼らの行動原理はたいていの場合、理念や思想ではなく自己保身であり、国家が定めた方針に従うことを旨とするのである。おそらく鑑三のあいまいな態度を許容する同僚教員や学生もいたであろうが、彼らは声をあげない、少なくとも後世に伝わるような明確な声をあげていない。結果として彼らも時代の空気に順応していたことになる。〈空気〉は大声を張り上げて非難、攻撃する者だけがつくりあげていくのではない。その背後にひたすら沈黙を守っている大多数の者たちが〈空気〉を支配的なものに醸成していくのである。

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随想 空即空(連載119)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正 

 内村鑑三の〈不敬事件〉はキリスト教徒の究極の覚悟を試される絶好の事件であった。植村正久は〈影像の敬礼〉や〈勅語の拝礼〉などは児戯に類することで、それは憲法、法律、教育令にもない、ただ当局者の痴愚なる、頭脳の妄想より生起したもので、こういった習俗は一掃すべきだと断言している。植村は「万王の王なる基督の肖像にすら礼拝することを好まず」、「上帝の啓示する聖書に対して、低頭礼拝することを不可とす」と書いている。植村は〈新教徒〉として、同時に〈皇上に忠良なる日本国民〉として、御真影礼拝や勅語礼拝を断固として否定している。植村の主張に迷いはなく、理路整然としている。ところで、植村は究極の二者択一の場(現人神かキリスト教の神か)に追い込まれたときにはどちらを選択するのであろうか。

 植村正久は最初に「今日はネロの時にあらず、またテオクリシアンの代にあらず。ゆえにキリスト教徒は幸いにして迫害に遭うの恐れなきことを得」と書いている。確かに当時の日本においてキリスト教徒は決定的な迫害に遭ってはいない。しかし鑑三の〈不敬事件〉は、すでに天皇を頂点とした国家体制にとってキリスト教徒が危険分子と見なされた一つの揺るぎない証でもある。よほど暢気な者を別として、唯一神を信奉するキリスト教徒なら誰しもが鑑三の〈不敬事件〉に我が身の危険が迫っていることを感じたはずである。鑑三が勅語を前にしてしっかりした礼拝をしなかったことで、同僚や学生、延いては世間からも激しく非難罵倒され、結局は職を辞さなければならなかったこと、これは一種の迫害である。ネロの時にあっては処刑など容赦のない迫害が繰り返されたが、鑑三が〈不敬事件〉で職を奪われたことは昭代における一種の〈処刑〉と言っても過言ではない。時代は、見ようによっては些末な事ですら弾圧・迫害の材料にできる、そういった国家体制が築かれつつあったのである。

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清水正 

    内村鑑三札幌農学校に入学して「イエスを信ずる者たちの契約」に署名している。この時も初めのうちは抵抗しているが、結局は自らの良心に反して強制に屈している。イエスのなんたるかを知らぬ前に、なぜ鑑三は署名したのか。

 純粋に信仰の問題ではない。友人の新渡戸稲造や宮部金吾はすでに署名しており、鑑三は彼らと決別してまで良心に従うことはできなかった。契約に署名した者たちは、実質上の札幌農学校創始者であったクラークの宗教教育の根本方針に従ったということである。彼らは当時の日本を代表する俊英である。彼らは国家の方針に従って、将来、国家有用の人物になるべき野望を抱いていた。中でも鑑三は農学校在学の四年間主席を通した俊英である。鑑三の表向きの心理の底に学友たちに対する激しいライバル意識が働いていたことを否定することはできない。

 鑑三の契約署名を美化することなどとうていできない。良心に背いてまで「イエスを信ずる者たちの契約」に署名した鑑三が、いつ、本物の信仰を獲得したのかは大いに興味をそそる問題だが、わたしはその〈信仰〉にすら疑問を抱いている。最初の妻タケを離縁し、最後まで彼女を赦せなかった鑑三の〈信仰〉をどう信じたらいいだろう。鑑三がイエスの言動をどのようにとらえていたのか。イエスの言葉に直面して、それを文字通りに受け止めることの困難を感じ続けているわたしにとって、鑑三の〈信仰〉はわが魂を揺さぶることはない。

 鑑三の言葉には彼が自覚できていない根深い欺瞞を感じる。キリスト教の唯一絶対神を信じる者が、どうして〈二つのJ〉など信奉することが出来るのか。鑑三は究極的な場における二者択一の恐ろしさに直面することなく、曖昧な立場を貫き通した。鑑三に限らず、日本の知的なキリスト教徒には、自らの命を張った信仰の姿が見えてこない。もっともらしい理屈で自らの信仰を擁護しているばかりで、殉教の覚悟ができていない。キリスト教キリスト教の教義をテーマに何冊小説を書こうが、何冊論文集をまとめようが、いざ二者択一を迫られたら、逃げ出すか、転向するか、せいぜい沈黙してごまかすか、いずれかであるような気がする。

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 当日、意図的に欠勤した同僚もいたが、彼らは勅語礼拝式の空気を予め察して、穏当な判断に従ったということであろう。鑑三には日本人が生来的に身につけている空気を読んで柔軟に身を処することができない。無粋で不器用で自己主張が強い鑑三は、何か事が起きるたびに多くの敵を作ってしまう。鑑三が決定的な破綻を免れたのは、何人か少数の者が彼の援護をしてくれたからである。だが、それ以上に考えられるのは、鑑三の曖昧、優柔不断な態度そのものである。要するに鑑三は〈不敬〉事件において、最初から最後まで曖昧な姿勢にとどまった。

 鑑三は堂々とみんなの前で〈偶像崇拝〉を拒んだわけではない。もし、この態度を一貫すれば、現人神天皇を奉ずる日本において決定的なダメージを受けたであろう。〈躊躇〉の後に、礼拝を認めた鑑三の態度はキリスト教徒たちの反感を買うことになったが、しかしそのほうが国賊と罵られるよりはましであったろう。中途半端な態度によって鑑三は生き延びた。この事件によって鑑三は病気になり、また愛妻を失うことになるのだが、この災厄は彼自身が招き込んだとさえ言える。

 先に引用した植村正久の文章は一読して穏当な印象を受ける。彼がキリスト教徒でなければ、見識のある一日本人の意見として率直に受け止めることができる。もし鑑三がキリスト教徒でなければ、勅語を前にした礼拝躊躇も大事にはならなかったかもしれない。しかし現に鑑三はキリスト教徒として知られており、彼の躊躇は、天皇よりもキリスト教の神をとったことを意味していた。鑑三の曖昧な態度は国粋主義者でなくても反感を覚えるものであろう。

 勅語に礼拝しなかった、いや少しは頭を下げたなど、細かいことを言えばきりがない。要するに鑑三はキリスト教徒として躊躇したことに間違いはなく、彼はその〈躊躇〉の意味するところを深く内省すべきだった。

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連載116

 内村鑑三の曖昧な態度に対して疑問と怒りを露わにした学生たちが、どれほど自分たちの行動を論理的に正当化できるのだろうか。彼らのうち、内村鑑三の〈不敬事件〉に対して、自分の言葉で自分の意見を発表した者があるのだろうか。時の政府は西欧列強に対抗できる強固な国家建設を目指していた。そのためには日本人の心を一つにしなければならない。宗教的絶対的な精神的支えとして日本独自の神道が採択された。天皇は単に皇室の頂点をなすべきものから、日本人の精神的支柱としての〈神〉となった。謂わばこの時、天皇一神教の〈神〉と同等の、日本人にとっての唯一絶対の神となったのである。仏教各派のうち日連宗は法華経を絶対視して他の宗派の殲滅をはかるほどの過激な宗派であったが、政府の断固とした宗教政策の前に屈服した。最後まで抵抗したのが創価学会の初代会長に収まった牧口常三郎とその弟子戸田城聖であった。

 平時において過激なことを主張している宗教団体も、いざ時の政府と真っ正面から対峙するとなれば大弾圧を覚悟しなければならない。宗教各派はもとより、大半の国民は時の政府の方針に順応するほかはない。内村鑑三の不敬に対して大声をあげて抗議したような学生は時の政府の方針を積極的に支持していたのだろうが、学生全員がそうであったと見ることは危険だろう。過激な反応に反撥を覚えながらも静観していた学生もいたはずで、いつの時代でもジャーナリズムは事を大袈裟にセンセーショナルに伝える性格を持っている。つまり内村鑑三の〈不敬〉はジャーナリズムによって大きく事件化されたとも言える。

 〈キリスト教徒〉内村鑑三の〈不敬〉は日本政府が目指していた根本的な方針に逆らう危険な事として注目され、大袈裟に報道されたのである。天皇を現人神とする政府の方針が、偶像崇拝を認めないキリスト教の根本教義と調和することは絶対にない。内村鑑三はそのことの自覚が足りないからこそ、肝心要の場面で断固とした態度を取れない。その意味では鑑三の曖昧な態度に毅然として抗議した学生たちのほうが、よほど〈不敬〉の本質を看破していたと言えよう。鑑三はキリスト教徒である自分が、同僚の教師や学生たちからどのような眼差しで見られていたのかに関して鈍感過ぎるし、奇妙なプライドが勝ちすぎて、自分の置かれた立場を客観的に見る視点を著しく欠いている。こういった自己認識の甘い絶対主義者は、いつでもどこでもトラブルメーカーとなってしまうのである。

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清水正

 

 わたしは団塊世代の一員で、学生時代は全共闘運動が盛んであった。この政治運動は過激度を増し、遂に連合赤軍による浅間山荘事件で幕を下ろすことになる。当時の新聞、テレビは過激派の内ゲバによる殺人事件を連日伝えていた。

 しかしここで注意しなければならないのは、過激な革命運動に参加していた学生は全体から見れば少数であったということである。大半の学生はノンポリとして彼らの熱い政治劇を野次馬的に傍観していたに過ぎない。またわたしのように、ドストエフスキー文学に心酔し、意識的拱手傍観者として冷静な眼差しを送っていた者がいたことを忘れてもらっては困る。

 ドストエフスキーは『悪霊』で社会主義者たちの欺瞞や、その思慮の浅いバカさ加減を徹底的に揶揄していた。わたしの見るところ、当時の革命運動家がドストエフスキー文学を読んでいたとはとうてい思えないし、たとえ読んでいても理解できなかったことは明白である。

 当時の日本の文芸評論家や小説家でドストエフスキー文学の影響を受けた者は確かに存在したが、『悪霊』一冊とってもその世界をまともに覗き見た者は一人もいない。ましてや受験勉強に明け暮れて、自分の頭で考えることをしてこなかった大学生が、ドストエフスキーが提示した諸問題の本質を把握することなどできるはずもない。

 自意識過剰の地下生活者は〈意識的な拱手傍観の生活〉をするしかないが、活動家は一義的な正義や真理を宗教上の神と同様に絶対視して微塵も疑うことを知らない。ドストエフスキーは『地下生活者の手記』で「すべての直情径行的の人間や活動家は、彼らが鈍感で浅薄な人間であればこそ、そのために実行的に出来ているのだ」(米川正夫訳)と書いている。

 要するに、活動家などというものはおしなべてバカであると断言しているのだが、この地下生活者の戯れ言に反駁できる活動家はいないだろう。マルクス経済学には人間学が見事に欠落している。人間は表向き〈自由、平等、友愛〉の実現などと口にしても、権力を握った者でそんなことを信じている者は一人もいない。人間に生来的に備わっている諸々の欲望は、浅薄な活動家が口にする〈正義〉などなんなく呑み込んでしまうのである。

 共産主義者が権力を握った時、彼は独裁者となって多くの人民を犠牲にして涙一粒流すことはない。ドストエフスキーが『悪霊』のシガリョフを通して描いた未来の革命国家の絶対専制主義の単純極まる構図さえ、未だに革命家は理解しようとしない。活動家の〈バカ〉は依然として健在ということか。空しいのは、〈バカ〉は自意識家の皮肉やユーモアも理解できないということだ。

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