随想 空即空(連載199)

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随想 空即空(連載199)

清水正  

 

 意識空間内において分裂者であっても、現実の世界にあっては一義的な行動を強いられている。いくらドストエフスキーで頭をいっぱいにしても、日常の生活に決定的な支障をもたらすことはない。意識空間内において二者択一を前に停止せざるを得ないと言っても、現実の生活においては躊躇無く一義的な判断を下して生きている。もしこれができなくなれば、精神疾患者の烙印を押されてしまうことになろう。意識空間内分裂者は覚醒時においてはきわめて明晰な自意識を保っており、狂気の淵に陥る可能性はきわめて低い。意識空間内分裂者は明晰な意識のもとに〈絶対〉はなく、すべては相対的なものだと思っている。従って現実の世界で一義的判断を下さなければならない時、それを心底信じているわけではない。

 演技意識、戯れ意識、空しい感じを免れない。が、それに慣れてくると〈モノローグ的態度〉に実感が伴うようになる。これは一つの役に没頭する俳優の実感に似ているかも知れない。俳優はその都度さまざまな人物になりきって演技に没頭しても、舞台から降りればその役から解放される。さまざまな役から解放された俳優が、現実生活の場において〈素の役〉を演じることもあろうが、いずれにしても俳優が〈役〉と〈素〉とをきちんとわきまえていれば特に問題はなかろう。

    現実の世界において二者択一を迫られる時、たとえば国家が戦争に突入する時、国民はそれに賛同するか反対するかの選択を迫られることになる。〈汝、殺すなかれ〉の言葉に忠実であればキリスト教徒は躊躇無く戦争反対の態度を明確にするであろう。その結果、本人は国家の弾圧を甘受しなければならないことになる。しかし内村鑑三の〈不敬事件〉〈非戦論〉〈兵役拒否問題〉を検証してきて分かるように、事は単純ではない。非戦論、絶対平和主義を唱えた鑑三は、弟子の宗次郎が兵役拒否を表明すると、ただちに花巻に赴いて宗次郎を説得したりしている。鑑三に限らず、当時のキリスト教徒の大半は戦争に反対しながら結果としては戦争に協力している。こういった事情は仏教界においても同じである。戦争反対を表明し、国家権力と闘った仏教徒の名前をあげることはできない。

    わたしは団塊世代に属するが、戦後民主教育の成果の賜物の一つかも知れないが、キリスト教や仏教に対して漠然と平和的なイメージを抱いていた。それが根底から覆ったのは、オウム真理教サリン事件であった。わたしはドストエフスキーを読んでいたので共産主義革命に関しては微塵の幻想を抱くこともなかったが、宗教に関しては人類救済の最後の拠り所と考えていた。しかしサリン事件は、そういった最後の望みを木っ端微塵にうちくだいてしまった。

    革命も宗教も完全に地に墜ちた。あきらかになったのは人間の〈神秘〉ということである。人間は愛しながらその相手を殺すこともできる、人間は激しい憎しみの念に駆られながらその相手を抱きしめることができる。この人間の〈神秘〉を直視すれば、鑑三が日清戦争を肯定し、続く日露戦争を否定したところで、また非戦論を唱えながら兵役を受容するなどという矛盾を持っていたことなど別に驚くべきことではない。

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