随想 空即空(連載113)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー&清水正ブログ#

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随想 空即空(連載113)内村鑑三の不敬事件を巡って#ドストエフスキー清水正ブログ#

清水正

 絶対者二つを同時同等に受け入れるということは絶対を相対化することであり、絶対が自らの絶対性を固持する限りそれを許容することはあり得ない。イエスは神である限り相対化されることを許容しないし、天皇も絶対である限り相対化を許さない。鑑三が二つの相容れない絶対を相対化してでも受け入れたいのであれば、そこには一種のニヒリズムが生じることになる。が、不思議なことに鑑三においては絶対の相対化に関するきちんとした認識がない。ここに鑑三の論理と激情的確信の特徴がある。

 鑑三には絶対の相対化によって生じるニヒリズムと自嘲的笑いがない。鑑三は芝居、小説に対して信仰上からも嫌悪を抱いていたようだが、人間存在を複合的にとらえる視点が欠けている。こういった人間は落語や漫才や劇などを通して人間存在の深淵をかいま見ることができない。特に指摘しておきたいのは〈笑い〉の欠如である。絶対を相対化するニヒリズムとユーモア精神の発露が希薄である。なにごとに対しても大まじめで、真剣に取り組むのはいいが、そういった頑固で一途な自己存在を相対化して笑いの次元に昇華することができないので、あれかこれかの二者択一を前にした自らの〈曖昧〉な態度を茶化してみせることもできない。

 こういった鑑三の性格は彼自身を最も苦しめることになる。なにしろ鑑三は絶対を相対化しておきながら、その相対化を認めずに、相対化した絶対を依然として傷つかずの絶対として崇めたいと思っているのである。本来、この自己矛盾の論理的解決はないし、感情の次元においても納得しがたい。鑑三が敢えて選んだ途は、曖昧を曖昧なままにして、この解決しがたい自己矛盾をやり過ごすことであった。

 鑑三は不敬事件によって病を得、二番目の妻加寿子を亡くした。鑑三の内部的問題にいっさい踏み込まず、献身的に仕えた加寿子は夫の病に感染し若くして病没する。鑑三の一途な性格はタケとの結婚生活を破局に追いやり、加寿子を精神的にも肉体的にも追いつめてしまう。鑑三が加寿子の死に痛恨の極みを味わったことはまちがいない。鑑三は『キリスト信徒のなぐさめ』第一章「愛する者の失せし時」で癒しようのない悲しみと自責の念を綴った。その鑑三の思いを否定する者はいまい。しかし先にも触れたが、この第二の妻加寿子に先立たれた痛恨の書は、鑑三が岡田静子と四回目の結婚(一八九年十二月)の直後(一八九三年二月)に刊行されている(評伝によれば鑑三は一八九二年頃に「築山もと」と三度目の結婚をしたことになっているが、詳細は不明で今日にいたるもはっきりしたことが分かっていない。評伝作家によってはこの結婚を数えに入れず、鑑三の結婚を三回と見なすものもある)。四度目の妻静子がこの書、特に「愛する者の失せし時」をどのような気持ちで読むのか、鑑三は考えたことがあるのだろうか。鑑三は自分の悲しみ、苦しみを重んじる余り、眼前の他者である妻静子への配慮を著しく欠いている。いつでも自分の意志や感情が最優先され、身近なひとを思いやることができない。静子が武士の娘で家父長的で封建的な妻の分を守っていた献身的な妻であったから、ことは大事に至らなかっただけで、鑑三における〈揉め事〉の要因は家庭内においても依然として伏在していたと言えよう。

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