近況報告 卒業式と「同心房」での飲み会

近況報告

3月25日は卒業式。わたしは式には出席せず、午後四時ごろに研究室にたどり着く。年金に関する書類の件で庶務課の担当者に相談にのってもらうなど、このところなんとなく忙しない。大学院修了者の何人かが研究室を訪れる。研究室の本の整理も90パーセントは片付いたか。自宅と仕事場にしているマンションは送られてきた段ボール箱でぎっしり。帰りは「同心房」でホッピー。メンバーは此経啓助、下原敏彦、浅沼璞、山下聖美先生、博士課程在学中の伊藤景さん、遅れて卒業生のオッコ中原。常連の山崎行太郎先生は鹿児島に帰郷中で欠席。この日、オッコは昨年11月23日の特別講演「『罪と罰』再読」の編集ビデオを持参。パッケージのデザインは評判が良かった。定価をつけて売り出そう、という話まで出たがどうなることやら。日本の古典文学の面白さなど思わず口にしたら、西鶴研究家のレンキスト・浅沼さんから『雨月物語』について書きませんか、という話が出た。今、わたしは「源氏物語で読むドストエフスキー」という壮大なテーマで書き進めているが、ようやく『罪と罰』のスヴィドリガイロフにまでたどりついた。ホッピーを飲みながら『罪と罰』の形而下学、描かれざる性愛場面についてほんの少し語ったが、こういう話にいちばん反応するのが此経先生である。此経氏のインド体験、その形而下学的体験にはぜひとも一度耳を傾けてもらいたい。人間とは何か、ドストエフスキーの文学の究極のテーマは性と切り離して論じることはできない。この日、浅沼さんの腰痛もそれほど酷くはなかったようで、十時近くまで飲むことになった。