小林リズムの紙のむだづかい(連載172)

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小林リズムの紙のむだづかい(連載172)
小林リズム

【そうだ、秋は寂しい】

 
 食欲の秋とはいうけれど。いや、まだ充分に暑いし、秋を感じるのには早すぎる気もするのだけれど、ここのところ食欲が止まらない。なりふり構わず、むやみやたらと食べたくなる。特に鶏肉。この数日間で食べたものを振り返ってみると、甘酸っぱいタレのかかったチキン南蛮から、ぱぱっと塩のきいた焼き鳥、味の染み込んだ手羽先、カリッカリの唐揚げでてんやわんやしていて、思い返してはまた食べたくなるのだった。

 それにしても、どうしてこんなに食欲が襲ってくるのか。食べたくなるのはひとりで家にいるときで、それも夜という太るためのゴールデンタイムで、なんかもうどんどん肥えていく。手あたり次第に、食べたい。冷蔵庫をひっくり返して、食料を見つけたい。嗚呼、これって…。
「満たされないものを補うようにして、食べちゃうんだよねぇ…」
と呟いてみたら、「わかるよ…」と独身女性の先輩がしみじみと共感してくれた。満たされない心の渇望(主に愛情面)が、身体にまで影響してひたすら隙間を埋めようとする。ゆえの、尋常でない食欲。夏の終わりとともに心にも吹いてくる冷たい風。クリスマスまであと3か月。そうだ、秋は寂しい。

 そういえば大学生の頃、ちょうどよく空いているコマを埋めようと選んだのが俳句のゼミだったのだけど、そのときに「長き夜に 冷めたカレーと 膝抱え」というものをつくったことがあった。秋の夜長に彼のことを想う彼女。彼と一緒に食べようと一生懸命にカレーをつくったのだけれど、彼はなかなか帰ってこない。次第に冷めていくカレー。「あの人は今誰とどこにいるの…?」という不安と心配に押しつぶされそうになりながら、部屋の隅で膝を抱えてひとりで寂しさに耐える…というのをイメージしたのだった。
 俳句のセンスがまるでなかったわたしはゼミ内でも悲しいくらいの落ちこぼれだったのだけど、唯一この作品だけは入選したのでよく覚えている。カレーはカレーでも、鍋に入った状態じゃなくて、お皿に盛りつけてラップがかかっているカレーがいい。ひとりでいる寂しさに耐えきれずに鬼のように電話をかけたりだとか、「彼がわたしを寂しくさせるから…!」という理由で浮気をするのではなくて、大波のように襲ってくる寂しさを誰にも告げず、ラップをかけてたったひとりで待っている女性が理想。

 寂しさって忘れたころに突然ふとやってきたりして、どうやってもなくなるものではない。それは恋人がいようが家族がいようが、生きている限りは仕方のないもので、だからこそこの「寂しさ」から目を逸らしてはいけないと思う。辛くなってついつい当たり障りのない上っ面だけの関係の人に連絡をしてしまったり、優しい言葉をかけてくれそうな人についていったりしがちだけれど、寂しさを共有するためだけの関係性を築くほど虚しいことってないよなぁと思う。欲しがっている者同士が寄り添ったってうまくいかないのに。きっとこういう寂しさの自己処理を覚えることが、大人になることだと思う。そう、だからわたしがこうやって寂しさを埋めようと食に向かって突っ走っているのは大人へと成長してい証拠なのだ。…という盛大な言い訳をしたいがためにここまで書いたのだけど、いやマジ寂しいわ、秋って。ちょっと寒くて、ちょっと暗くなっただけで、こんなにもセンチメンタルになれるなんてね。 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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