インドネシア訪問(4)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税



九月四日、南ジャカルタ国際交流基金ジャカルタ日本文化センターでの国際シンポジウム「文学とマンガ」第一日目はまずわたしが「世界文学の中のドラえもん」のテーマで話した後、実存ホラー漫画家・日野日出志先生が「キャラクターと漫画の描き方」を講演しました。日野先生は日芸文芸学科で「マンガ実習」を担当されている。講演は授業方式で、出席者に質問する形ですすめられた。インドネシア大学の若い学生さんたちが日本のマンガに多大の関心を抱いていることがよく伝わってきた。このシンポジウムのために日芸図書館が刊行した『日本のマンガ家 日野日出志』を予め百冊ほど日本文化センターに送っておいた。講演後、出席者全員に贈呈し、たいへん喜ばれた。「マンガ」を通しての文化交流は今後ともに盛んになるだろう。


講演中の日野日出志先生

左は「じゃかるた新聞」副編集長の配島克彦さん。

『日本のマンガ家 日野日出志』を手にするインドネシア大学のカズコ・ブディマン博士

『日本のマンガ家 日野日出志』を手にする国際交流基金小川忠所長

出席者で熱心に質問していたインドネシア大学の学生メリーさん

サインに応じる日野日出志先生


日野日出志先生の講演の後、休憩をはさんで三番手は伊藤景さん(日芸マスコミ研究会会長で日芸文芸学科四年生)が「読書のリメイク」をテーマ林芙美子の「放浪記」の漫画化や他の小説や漫画やアニメをテーマとした自作のアクセサリーを紹介した。伊藤さんは漫画家・志賀公江先生のゼミに所属し、日野日出志先生の「マンガ実習」も受講していただけあって、今回の国際シンボジウムのテーマにはもってこいの発表者であった。伊藤さんはたびたびインドネシア人に間違われていたが、会場は終始友好的な空気に覆われていた。若い人たちが文化交流することの大切さを強く感じる時間であった。

講演中の伊藤景さん(右)




「放浪記」冒頭部分を伊藤さんがマンガにしたもの


サイボーグ009」をモチーフに作成



第一日目、最後の発表者は「じゃかるた新聞」の配島克彦さん。講演はすべてインドネシア語でおこなわれたため、わたしにはさっぱりわからなかった。
テーマは「クールジャパンの裏・表」ということでした。配島さんは日芸文芸学科出身で受験の時はわたしが面接官だったということもあり、彼が日本に来た時には江古田の飲み屋で宴会することになっている。酒の席ではかなり過激な話もでるのだが、この日の講演ではどうだったのだろうか。日本とインドネシアの今後の交流においてマンガ、アニメ、映画、芸能などは欠かせないものとなるだろう。日本の文学を媒体にした研究交流をすすめるためには、まだまだ準備が整っていない印象を持った。いずれにせよ、政治・経済が優先した交流よりは、文化・芸術を主体にした交流が深まるほうがいい。その意味でもジャカルタに腰を据えて活躍する配島さんの存在は貴重である。
 第一日目シンポジウム終了後は、ホテル内のレストランで食事しながらの濃い親睦会となった。



講演を終えた配島さん

左からインドネシア大学の学生さん。日本のマンガに多大の関心を持っていた。伊藤景さん。山下聖美先生。

インドネシア大学大学院日本地域研究科の学生さんたちと記念撮影

「じゃかるた新聞」の記者に取材を受ける日野日出志先生