小林リズムの紙のむだづかい(連載158)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D

ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/


四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp



清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。
小林リズムの紙のむだづかい(連載158)

小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/



紙のむだづかい(連載158)
小林リズム

【マジで常識ってわからない②】
 

  キョーコさんと話していると、すべてが自然の流れで起こっていて、家族いっしょにお風呂に入ることも、ピカピカになった股間の写真を親に送りつけることも、まったくもって突っ込むことではないかのように思えるのだった。どうしてだろうなぁと思ったら、彼女(や彼女の家族)には“いやらしさ”というものや“悪意”というものがまるで存在しないのだった。邪気がないから、いやらしさもない。下心が表に出ているので、本能的というか野生的なのだ。

 たとえば、さわやかにスケベなキョーコさんのお父さんは、耳に拡張したピアスをつけているらしい。それには理由があって、キョーコさんが高校時代に「ピアスを開けたい!」と話した時に「じゃあ、どんなもんかお父さんが先に試してみるよ」と率先して自らの耳に穴をあけたのだとか。「男が華奢なピアスなんて恰好がつかないから、拡張する」という流れから60歳を越えた今でも拡張ピアスをつけているらしいのだけど、その話を聞いたとき「オレがマンモス狩ってくるから、待ってろ!」という綺麗な目をした原始人が頭に浮かんだ。なんと果敢な。そして、こんなに純粋に生きられる人が、現代にもいるとは。

 そんな家庭で育ったキョーコさんが岡山県から上京してきたのは、5歳のころから通っていた絵の先生の言葉がきっかけだった。
「キョーコちゃんは東京の空気が肌に合うと思うよ。家賃は高いかもしれないけど、面白い人たちに出会うための代金だと考えればいい」
などとカッコイイことをさらっと言うその先生は、キョーコさんいわく「性別がわからない」らしく「ピカソみたいな顔をした、たぶん女性」らしい。奇抜な恰好をしてシャラシャラと楽器の音を鳴らして踊るイベントを開催するその先生に、幼いころからいろんなことを教わってきたのだから、もう「普通ってなに?」みたいな状態になるのは当たり前なのかもしれない。
 中学校のころはテスト前日にも関わらず、絵の教室で映画鑑賞会をやったり、そこでビールを勧められて飲んだというのだからびっくりする。きっとどこの予備校へ通っても学べないようなことを、彼女はそこで吸収してきたのだ。

 まったく就職活動をせずに大学を卒業してからフリーターになった彼女は、年金やら保険やらが大変だと不満をもらすわたしにこんなことを教えてくれた。
「自然はわたしたちを殺さない程度には生かしてくれる。…って言ってたよ、お母さんが。“北の国から”の受け売りらしいけど」
…いやはや。彼女の言葉にはワイルドなパワーと生命力が十分に備わっている。そうだ、どんなふうになっても、自然はわたしを殺したりしない…と勇気づけられたのもつかの間、この暑い夜に駅で段ボールを敷いて寝ている人をみかけて、わたしはそんなにワイルドになれないかもしれない…と一抹の不安に駆られるのだった。

 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。