林芙美子研究のための取材旅行(連載1)

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四月二十九日から五月二日まで林芙美子関係の記念館や文学館、研究者を訪ねて回った。日大芸術学部図書館では四月から林芙美子に関する文献・資料展示を開催しているが、今年秋には図書館発の「林芙美子の芸術」を刊行の予定で作業を進めている。また「江古田文学」は山下聖美准教授が担当で林芙美子特集を七月に刊行の予定である。今回の研究旅行のメンバーは私の他に文芸評論家の山崎行太郎さん、山下聖美さん、大学院生の藤野智士君。三泊四日の旅であったが、かなり充実した時を過ごした。旅行中は詳しく記事を書くことができなかったので、以下、日記風に写真満載で紹介報告する。
平成23年4月29日(金曜)
五時半起床。六時十二分常磐線快速で我孫子から上野。東京駅から「のぞみ101号」16号室。車内で山崎行太郎さんと、藤野智士君と合流。弁当とお茶を売店で買う。品川から山下聖美さん乗車。福山で乗り換え。尾道駅。「喫茶芙美子」で取材。バスで因島。一年ぶり。興文館で女主人と話し、「たぬき食堂」に電話連絡していただく。歩いて五分ほどで店に着き、マスターの木村眞久さんに再会した。昨年の六月、初めて因島を訪れたとき、この食堂に入って、ビールとラーメンを注文した。マスターは気さくにいろいろな話を聞かせてくれたが、「はっさく」の話でいっぺんに気に入ってしまった。みかんは接ぎ木ができるが、はっさくだけは接ぎ木ができないという話に、私は勝手にマスターとはっさくを重ねて、一本気で酒好きでユーモアのあるマスターの人生に好感を抱き、また必ず来るよと約束した。因島に着いたら真っ先に「たぬき食堂」を訪れたいと思っていた。酒の飲みすぎでからだをこわしていたと聞いていたので、元気にしているマスターの笑顔を見て安心した。「たぬき食堂」の魅力は木村マスターのしゃれた会話にある。そばも旨いが、私はマスターの人柄に惚れた。マスターにはこの日、名物の日本酒をごちそうになった上に、大きな干し蛸までいただいた。私は四月に刊行した『林芙美子屋久島』をさしあげた。会話ははずみ、時間はあっという間に過ぎた。


新幹線の車内で。左から山下聖美・清水正山崎行太郎

車内で取材の打ち合わせをする山下さんと藤野くん。



















































「たぬき食堂」を後に、興文館に立ち寄り、主人と女将に一年ぶりの挨拶。初対面の息子の敏樹さんとも話す。因島林芙美子の恋人岡野軍一が日立造船所に勤めていたこともあり、研究家や愛読者は一度は訪ねたいと思っている重要な土地である。是非、書店内に「林芙美子コーナー」を設けて芙美子文学の普及をはかってほしいとお願いしてきた。興文館を出て歩いていると山崎行太郎さんのケイタイにたぬき食堂のマスターよりTEL。私はうっかりコートを置き忘れてしまった。マスターはわざわざ後を追ってコートを持ってきてくれた。感謝。