林芙美子は永遠の作家である

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林芙美子は永遠の作家
昨日三月二十八日、午後二時、ボルネオ研究家の望月雅彦さんと林芙美子の熱烈な愛読者で林芙美子に関する文献を蒐集されている加藤誠一さんが山下聖美さんの研究室を訪れた。この日、望月さんは林芙美子が描いた自画像の複製を持参し、図書館に寄贈された。この絵にはサインがしてあり、これが本物かどうかみなで鑑定することになった。見た目では、複製に見える。が、このサインは林芙美子の単行本(林芙美子選集第四巻「掌草紙」昭和十二年十月二十日。改造社)に収録された同一自画像のサインとは異なっている。今後、林芙美子のサインの字体などさらに検証を進めていかなければならない。この検証は戸田図書館課長にゆだねることにした。戸田課長が研究室を退室した後も、話ははずみ、わたしも久しぶりに『浮雲』について熱く語ることになった。林芙美子の文学は世界文学の地平において論じられなければならないこと、林芙美子ドストエフスキー文学を血肉化して作品化していること、林芙美子の文学は永遠性を持っていることなど、研究室は一気に熱気を帯びた。加藤さんは現在八十六歳ということであったが、五、六年ほど前から林芙美子の文学に魅了されたとか。ドストエフスキーは十七歳の時に兄ミハイル宛ての手紙に「人間は謎です。この謎は解き明かさなければならない」と書いている。まさにドストエフスキーは人間の謎を解くために小説を書き続け、五十九年の生涯をとじた。林芙美子もまた人間を描き続けて四十八年の生涯を激しく生きた。加藤さんは死ぬまで林芙美子を読み続けると静かに語った。日芸図書館は来年、林芙美子の生誕110年を記念して「林芙美子の芸術」の第二弾を予定している。

右から望月雅彦さん、加藤誠一さん、戸田浩司図書館事務課長。

山下聖美さん。

日大大学院時代の学生証を手にする加藤誠一さん。