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プーチンと『罪と罰』(連載46)

清水正

 

 イヴァンは〈事実〉にとどまるに当たって、何かを理解しようとするとすぐに〈事実〉を曲げてしまうからだと言っている。この〈事実を曲げる〉〔изменю факту〕とはどういうことか。召使いの子供が石を投げて将軍の犬を傷つけたこと、翌日の朝、将軍は子供を裸にして勢子に追わせ、猟犬を放って子供を殺してしまったこと、これらは〈事実〉(факт)である。この〈事実〉を〈曲げる〉ということは様々な解釈をほどこすことを意味しているのだろうか。思いついたことから記していこう。

    子供が将軍の犬の足を傷つけてしまったことに対し、イヴァンは子供が石投げ遊びをしていて、その石がたまたま犬にぶつかったというような言い方をしている。イヴァンの話だけをそのまま聞けば、子供に悪意はない。読者の大半は、イヴァンの話を聞いて、わずか八歳の子供を猟犬によって殺す将軍を常軌を逸した残酷な権力者と見なし、殺された子供、および母親に果てしのない同情を起こす。アリョーシャと同じく、将軍に対して〈銃殺〉を命じたくなる気持ちにもかられるだろう。

 ところで、もし、子供が意図的にわざと将軍の可愛がっている犬に石を投げつけていたとすればどうだろうか。この子供の行為には、実は母親ばかりでなく、多くの召使いたちの、将軍に対する反逆の意志が反映されていたとしたら。将軍は単に、犬を傷つけた子供を罰したのではなく、将軍に対して反逆の意志を潜めていた者全員に、謂わば見せしめのために幼い行為者に厳罰を下したのだと見ることもできる。

 あるいはそんなこととは関係なく、この将軍は子供であれ誰であれ、気に食わないものを殺すことなど、別になんてことはなかったのかもしれない。戦場で指揮をとってきた将軍にとって、召使いやその子供など愛犬以下の存在でしかなかったのかもしれない。われわれは、この事件を将軍の特異な性格に帰することもできるし、農奴制の悪しき一例として片づけることもできる。要するに解釈次第では、将軍のこの行為を当然のこと、何ら処罰に値しない当然の行為と見なすことさえできるのである。

 

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清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

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