プーチンと『罪と罰』(連載43)

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

sites.google.com


お勧め動画・ドストエフスキー罪と罰』における死と復活のドラマ https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk&t=187s

清水正の著作、レポートなどの問い合わせ、「Д文学通信」掲載記事・論文に関する感想などあればわたし宛のメール shimizumasashi20@gmail.com にお送りください。

清水正の著作購読希望者は下記をクリックしてください。

https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208

                清水正・画

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

プーチンと『罪と罰』(連載43)

清水正

 

 アリョーシャの〈銃殺にすべきです〉にしばし立ち止まろう。『カラマーゾフの兄弟』の筆者はアリョーシャに関して第一編第四「三男アリョーシャ」の中で「『わたしは他人の裁判官になるのはいやです。また、他人を非難するのも好まないから、どんなことがあっても人をとがめません』とでもいうようなところが、彼のからだの中にあった。(それは一生を通じてそうであった)。じっさい、彼はいささかもとがめ立てしないで、いっさいのことを許しているようであった」(上巻・23)と書いていた。にも拘わらず、ここでアリョーシャは人を裁く人間となっている。愛と赦しを説くキリストはたとえ相手が極悪人であろうと罰したり裁いたりしない。なぜアリョーシャは将軍を〈銃殺〉という極刑に処したのか。ここにはいったい何が潜んでいるのだろうか。

 召使いの子供が、将軍のお気に入りの猟犬に石を投げてその足を傷つけた。イヴァンの説明によれば、それは子供が石投げの遊びをしていて、たまたま猟犬の足に当たってしまったということであった。しかし、穿った見方をすれば、将軍はそれを単なる事故ではなく、召使いたちの心の底に潜んでいた彼に対する反逆の意志の反映と見て取った可能性もある。反逆の芽はごく初期のうちにつみ取っておかなければならない。将軍として数々の戦いを経験してきた者として、〈敵〉を見破る眼は確かであったと思われる。このように考えれば、将軍のあまりにも残酷な、あまりにも恣意的に見える子供に対する手の込んだ処刑もそれなりに理解できる。ここには、明確に露呈はしていないが、支配する者(将軍)と理不尽な支配下に置かれ服従を余儀なくされた者たち(召使いや農奴)ののっぴきならない対立の構図がかいま見える。

 アリョーシャが将軍に〈銃殺〉を宣告するということは、謂わば支配下に置かれた者たちの反逆の支持を意味している。言葉をかえれば、召使いたちよ、農奴たちよ、この残酷非道な絶対者将軍に武器を持って立ち向かえと言っているのである。アリョーシャの〈銃殺〉という言葉の内には、わずか八歳の子供に恣意的な権力をふるった将軍個人の処刑だけではなく、それを許容していた農奴制度自体の破壊をも促す、謂わば革命の声も潜んでいたということである。

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

www.youtube.com



大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。 

エデンの南 清水正コーナー

plaza.rakuten.co.jp

動画「清水正チャンネル」https://www.youtube.com/results?search_query=%E6%B8%85%E6%B0%B4%E6%AD%A3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB

お勧め動画・ドストエフスキー罪と罰』における死と復活のドラマ https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk&t=187s

清水正の著作購読希望者は下記をクリックしてください。

https://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208

お勧め動画池田大作氏の「人間革命」をとりあげ、ドストエフスキーの文学、ニーチェ永劫回帰アポロンディオニュソスベルグソンの時間論などを踏まえながら

人間のあるべき姿を検証する。人道主義ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。

www.youtube.com

 

www.youtube.com

www.youtube.com

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。

清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。

令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ

発行日 2021年12月3日

発行人 坂下将人  編集人 田嶋俊慶

発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1

f:id:shimizumasashi:20220130001701j:plain

表紙

f:id:shimizumasashi:20220130001732j:plain

目次

f:id:shimizumasashi:20220130001846j:plain

f:id:shimizumasashi:20220130001927j:plain

 

 

大学教育人気ブログランキングに参加しています。応援してくださる方は押してください。よろしくお願いします。