プーチンと『罪と罰』(連載47)
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清水正・画
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イヴァンは〈事実〉の様々な解釈ではなく、〈事実〉にとどまろうとしている。解釈は〈事実〉を〈曲げる〉〔изменить〕とまで言っているのだから、読者はイヴァンの言う〈事実〉に立ち止まる必要があろう。
わたしが想起するのはベルグソンの〈直観〉と〈解釈〉である。ベルグソンはものの本質は直観によってしかつかむことができず、視点をどんなに増やして対象に迫ろうと畢竟、それは解釈にすぎないということになる。現象学を創始したフッサールも、本質(普遍的な真理)をとらえるためには、とりあえず価値の判断を( )にくくって保留し、対象そのものに立ち向かわなければならないという学的姿勢をとった。
両者に共通しているのは、彼らが〈本質〉〈絶対不動の真理〉の存在を確固たるものとして想定していることである。わたしはベルグソンの言う〈本質〉も、直観による一解釈と見なすが、ベルグソンにそういった見方はない。つまり、ベルグソンにもフッサールにも〈本質〉〈絶対真理〉そのものに対する根源的な懐疑がない。わたしはニーチェの言う「ものそれ自体はなく解釈あるのみ」という〈解釈〉を受け入れる戯れ者であるが、ここではイヴァンの言う〈事実〉に焦点を合わせておこう。
イヴァンも謂わば言葉上の戯れ者には違いないが、しかし〈事実〉の多義性に戯れる者ではない。彼はキリスト教の神の範疇に捕らわれた者であり、〈事実〉を〈曲げる〉ことを許さない、つまり〈事実〉の一義性にこだわり、その一義性にことの〈本質〉を見たいのである。
将軍の犯した〈事実〉は人間として許すことのできない残酷きわまる行為であり、彼はその罪によって〈銃殺〉されるのが当然ということになる。この一義性は、本来、キリスト者アリョーシャによって拒まれなければならなかったはずであった。しかし、〈未熟な博愛家〉(ранний человеколюбец)アリョーシャは、イヴァンの一義性に同調してしまった。
愛と赦しを体現しなければならないキリスト教者アリョーシャは、決して口に出してはならない恐ろしい言葉(銃殺)を発してしまう。つまり〈事実〉がイヴァンとアリョーシャ双方によって一義性を獲得し、事実が曲げられなかったということになる。
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人間のあるべき姿を検証する。人道主義(ヒューマニズム)と宗教の問題。対話によって世界平和の実現とその維持は可能なのか。人道主義と一神教的絶対主義は握手することが可能なのか。三回に分けて発信していますがぜひ最後までご覧ください。
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「清水正研究」No.1が坂下ゼミから刊行されましたので紹介します。
令和三年度「文芸研究Ⅱ」坂下将人ゼミ
発行日 2021年12月3日
発行人 坂下将人 編集人 田嶋俊慶
発行所 日本大学芸術学部文芸学科 〒176-8525 東京都練馬区旭丘2-42-1
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