星エリナのほろよいハイボール(連載101)
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星エリナのほろよいハイボール(連載101)
エッセイを書く
星エリナ
私がエッセイを昨年の春に書き始め、ついに、連載100回を超えました。正直自分でも驚いています。三桁という数字は積もっていけばいつか届くけれど、積もっていくのをじっと我慢するのには長い数字だと思う。努力はいつか報われるとか、夢はいつか叶うとか、正直信じていない。
嫌になるときもあったし、エッセイなんか書いてられないよってくらい忙しいときもあった。それでも続けてきたのはなぜかって言われると、わからない。「やっぱり書くことが好きだから!」と書くのは簡単だけど、そんなことない。特にエッセイを書くことは好きじゃない。ネタがないときは特にそう。どうして好きでもないことを続けてこれたんだろう。
あ、そうか。今思った。エッセイは正直でいいからだ。普段生活をしているときに、なにもかも正直に過ごしていると、友だちができなかったり、社会のなかで協調性がない人間だと周囲に認識されてしまう。だから日常ではニコニコ笑って嘘をついて、たまに人の悪口を言ったり、くだらない話ばかりずっとお喋りしたりするのだ。だけど、エッセイは別にそんなことしなくていい。ニコニコ笑ってなくていい。嘘なんかつかなくていい。つく必要がない。お洒落なカフェに行ったことを自慢なんてしなくていい。
エッセイを書くことが好きって言わなくてもいい。つまり、そういうこと。
先輩エッセイストの小林リズムさんはなんと連載500回以上である。やっと100回に達した私に比べて5倍。500回かー、そんなに私ネタないなー、つまんない人生だなー。と思い素直にすごいと思っている。もちろん、リズムさんの読者であり、やっぱり意識することはあるし、意識させられるようなことを言われたこともある。
だけど、「私なんてまだまだです。これからももっと頑張ります」なんて謙虚に生きたいとは思っていない。500回のリズムさんがいるから、100回の私は周囲からも「まだまだこれからだな」と言われると思う。だけど、もしリズムさんがいなかったら、最初に書いたように、三桁ってすごい数字だなーってもっと素直に思えたかもしれない。だからといって、いなければ良かったのに、とは思えない。リズムさんのエッセイは普通に読みたいし。
だから、なんていうか、伝えにくいのですが、このモヤモヤ感。
エッセイを書くことは別に好きじゃないけど、正直になれる開放感みたいなもの。
先輩のリズムさんがいなければ、100回ってもっとすごいものだったのかな、と思うけど、やっぱりリズムさんはすごいしリズムさんのエッセイは好きってこと。
こういうモヤモヤも、はっきり言葉にしなくちゃいけないのかな。意見をしっかり言うことは大切なんだけど、こんなことまではっきり他人に伝えたくないし、そういうモヤモヤを大切にしていたい。自分の内側で溜まっていくモヤモヤを私は小説にしたいから。
連載100回、ありがとうございました。
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