小林リズムの紙のむだづかい(連載287)

小林リズムの紙のむだづかい(連載287)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。

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四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/

小林リズムの紙のむだづかい(連載287)
小林リズム
   【私は神様なんか信じない。けど。】


  

   12月○日 ×曜日

 私は神様なんか信じない。存在しない存在にすがるなんて、みじめだとさえ思う。でも、信じられないのに、なにかを信じなければ、やっていけない。“何も心配することはない。あなたは生きているだけで美しい”と丁寧に言い聞かせてくれる存在を渇望し信じ切りたいと望んでいる。 ―綿矢りさ 『ひらいて』より

 占い鑑定のライターのアルバイトをやめた。これまで縁結びのお守りを買いあさり、パワーストーンを身に着け、占いにまで通ったことのある私にとって、自分が鑑定士側にまわるというのは衝撃の連続だった。驚きが6割、罪悪感が2割、残りの2割は依頼者に対するささやかな応援と苛々がミックスされていた。ふたつの感情のぶつかりはかきまぜられているうちに判別できなくなり、最終的にはミルクティーみたいにひとつのものとして完成した。私が依頼者に対していつも抱いていた感情。強い共感と拒絶。

 私がやっていたのは、WEBサイトでの占い鑑定士の文章作成だった。一日に何通もの相談が寄せられ、それに対して一通ずつ返信していく。もちろん私は占い師ではない。依頼者は若い子よりも40〜50代の中年女性が多く、相談内容はヘビーな不倫からライトな学生の片思い相談まで様々。まさか22歳の一般女性が返信しているとも知らず、どの人も真剣に自分の未来について尋ねてくる。それに対して「同情・同調」をして依頼者に寄り添い、「信じたい未来」を提示して夢をみさせるのがこの仕事の務めだった。簡単にまとめれば「今まで我慢してきたんですね。頑張ってきましたね。もう大丈夫ですよ。あなたの未来はこんなに明るいです。あなたはそのまま、待っているだけでいいんです」という流れになる。

 このことを人に話すと「詐欺じゃん」「騙してるっていうか…」「…え…早く足を洗ったほうがいいよ」と引かれることもあって、私自身「だよね〜」などと軽く便乗していた。けれど、よく考えてみれば占いに頼っていたころの私もこんな言葉を欲していたのだ。たとえ根拠がなくとも占いという職種の人から「あなた、きっと近い未来に素敵な恋愛ができるわよ」などと言われたら嬉しい。「あら、これまで不安だったわよねぇ。もう大丈夫よ、これからは明るい未来が…」などという漠然とした言葉を投げられても、この人は私のことわかってくれてる!救ってくれる!と勘違いしてしまう。心や未来などのどう頑張っても覗くことのできない未知のものに対して「大丈夫」という太鼓判がほしいのだ。信じられるものがほしい。そうでなければ乗り越えないときがある。そんな刹那的な安心を売る仕事だったのかもしれない。

 
 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


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