小林リズムの紙のむだづかい(連載136)

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紙のむだづかい(連載136)
小林リズム

【「ごめん、彼氏できちゃた☆」の恐怖】
 

「ごめん、クリスマスいっしょに飲もうって約束してたけど、彼氏できちゃったから行けなくなっちゃった…ホントごめん!」

 というメールをイヴ前日にもらったことがあった。のちにわたしはこの“ごめん”という反省して見えるワードではさんで相手への怒りをやわらげ、自己弁護をしようと必死なメールを「ごめんねサンドメール」と命名した。けれど、実際にこのメールが送られてきたときはあまりにも唐突で、ショックで頭が真っ白になっただけだった。

 友人に彼氏ができたと報告されたとき、まずは巨大な喪失感に襲われる。ついこの間まで一緒に笑ってくだらない話に花を咲かせていた仲間が遠い人になってしまう…。待って、わたしを置いていかないで…。とすがりつきたくなる思いを必死にこらえて「わぁ、、よかったねぇ!おめでとう」と笑顔で祝福する。
 ひと通りの喪失感を味わうと、今度は自己嫌悪が「ちーっす!」と遠慮なくズカズカとあがりこんでくる。「なんでわたしはいつも…」「どうせ誰もわたしのことなんて…」とネガティブはこれでもかというスピードで加速していき、ピークを超えると自己陶酔に変化する。「わたしってなんて可哀想なの…。苦しい、つらい、もうだめ…。神様、わたしはいつになったら幸せになれるの…?」BGMは阿部真央とか加藤ミリヤの失恋ソングで決まり。胸の痛みを自己確認すれば、もう完璧に悲劇のヒロインモード全開、さめざめと悲しむ自分にひたることができるのだった。女はこういう過程を経て、立ち直っていく。

 いつだって誰かの特別な存在になりたい、誰かに「君しかいない」って言われたい…!と願う女にとって「いつか誰かがきっとわたしのことを見つけてくれる…」という思いは捨てることができないし、無駄な希望だとか夢見がちだとかいわれてもなんの根拠もなく未来の王子の存在を信じてしまう。そんな頑なに信じていた幻想がぐらっと歪むのが、まさに「自分と同じところに立っていると思っていた友達に本当に王子が現れたとき」で、だから友達がモテている姿を目の当たりにすると「もしかしてわたしはこのまま朽ちていくの…?」と恐々とする。
 「お前だけだよ」とか「君がいなきゃだめだ」と必要とされることで自己肯定感を得られるので「誰にとっても特別な存在になれないわたし」を受け入れることができない。だから「もう誰でもいい!こうなったらなりふりかまわず愛されたい!」とばかりにモテたくなるのだった。モテis自己肯定。

 …まあそんな寂しさも友達が彼氏とラブラブな間は続いたりするのだけど、徐々に独り身嗅覚が再稼働して、同じような独り身女子の友人を見つけてあいもかわらず女子会を楽しんだり、「今年も恋人いない夏だよ〜」なんて言い合っているうちに、その生活も楽しく思えてきたりなんかして、本当にこわいのはモテたい願望を通り過ぎたときなのだよね…。病名はコノママデモイイカモ症候群。

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