小林リズムの紙のむだづかい(連載135)

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紙のむだづかい(連載135)
小林リズム

【困った顔フェチ】
 

 そういえば、「愛されるハッピーな女になるためには、愛情や感謝の気持ち、行動を出し惜しんではならない」…というコラムをドヤ顔で書いたことがあったのだけど、あの記事はまさに自分への戒めの意味もあった。何を隠そう「困っている顔」フェチのわたしとしては、人が何かを欲しがっていたり求めている姿にたまらなく興奮してしまう。こう書くとなんだか変態みたいで嫌なのだけど、欲しがっている人たちは、満たされている人よりもずっとそそるものがあるのだった。

 たとえば、不満を言葉にできずに自分を苦しめている人。自分で自分を陥れていることに気づいていない人。理想と現実のギャップにもがいている子とか、いつも何か足りなさそうにしている子が、なにかを諦めたり妥協したりするようになったときにみせる「ふっ」とほどけた表情や、伏せた目とか、そういうある種のゆるみも見たい。そのためにも、いっそう強く「欲しがる姿」を頭に刻み付けるのだった。

 だからなのか。今まで好きになった人の顔の記憶を掘り起こしてみると、みんな困った顔で再生される。重い鞄を肩に食い込ませて苦しそうにしている表情とか、自分の意思を伝えられずにうじうじしている姿とか、欲しいものがいつも手に入らなくていじけている様子だとか。そういう揺らぎみたいなものってものすごく人間くさくて、持て余すくらいに厄介だから釘づけになってしまうのだった。
 そうやって困っている顔を見たいがためにしょっちゅう出し惜しみをするわたしだから、いつも失敗する。とてもじゃないけれど“愛されるハッピーな女”になんてなれない。愛情は100回に1回、感謝は10回に1回、行動にいたっては、もはやないかもしれない。典型的な出し惜しみ女子。マザーテレサもご立腹するレベル。

 わたしは、耐えて耐えて耐えて、耐えまくった末に見せる穏やかな表情が好きなのだ。アメとムチではなくて、ムチムチムチ、アメくらいの頻度で。そうやって欲しいものがなかなか手に入らない状況のなかで彼らがたくましく育ち、「欲しがる顔」を見る機会がますます減っていき、「欲しがる顔」がレアもの扱いになるころにはもう、すっかり彼らはわたしに何も求めないし期待もしなくなっている。ジ・エンド。

 愛することそのものが歪んでいるのかもしれないなぁと思う。「愛するとは与えることに喜びを感じること」だと、道端で宗教勧誘をしてきた女の子が教えてくれた。アタエルコトニヨロコビヲカンジルコト。よし、肝に銘じておこう。そんなことを考えながら、今日もついつい出し惜しんでしまう。“愛されるハッピーな女”への道のりはまだ遠そうだ。

 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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