小林リズムの紙のむだづかい(連載98)

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紙のむだづかい(連載98)
小林リズム

【自意識こじらせたオジサン 前編】



「どうしても初対面って猫かぶっちゃうんだよね」
「そうそう、嫌われたくなくて良い人演じちゃう」
「その結果“いい子”って勘違いされて、疲れる…」
「不毛だよねぇ」
 と友達と話していた。人とのコミュニケーションが苦手。貪欲で強欲なので、自然と誰からも好かれたい欲求が発動する。短い時間のなかで、渾身の演技となけなしの女子力を発揮して「めっちゃ良い子」ぶる。結果、「あの子、気も遣えるしにこにこしてるし感じいいよねー」と、普段の自分からは想像できないような人格ができあがって、取り返しがつかないことになるのだった。

 自意識が複雑骨折しているので、考えることも単純で極端。「もう良い子ぶるのやめよう!」とか「本音を言おう!」と思うと、加減がわからずぶっとばす。相手のジョークにも「へぇ、気持ち悪いですね!」とか「バカみたいですね!」などと突っ込んで、初対面にも関わらず失礼なことを言ってしまって怒らせたことや、気まずくなったことも数知れず。
 だから、同じように複座骨折してる系の人を見ていると、私には関係ないし〜みたいなスタンスをとりながら、心のなかで、君、違うよ!そこはもっとオブラートに!それ、ちょっと言っちゃダメなやつ!と、心のなかで激昂してしまうのだった。

 この間、こじらせ系オジサンに会った。読書のイベントに参加したあとのお茶会で、年齢層も職業もずいぶんと幅広くて、ふだん関わることのないような人たちと話すことができる。「読書」という共通の趣味を通して仲良くしようぜ、というコンセプトだと思うのだけれど、なんせ初対面同士。お酒でも入らないと気まずさはぬぐえない。しかし、昼間だからお酒はナシ。
 ここのお店始めてですぅ、晴れて良かったですねぇ、なんていう白々しい会話を繰り返し場の空気もイマイチ。あぁ、今日はどんなキャラでいこう…、と迷っていると、斜め前に座っていたオジサンがいきなりみんなに向かってしゃべり始めた。



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