林芙美子研究プロジェクト・台湾へ四泊五日の旅(連載4)

林芙美子研究プロジェクト・台湾へ四泊五日の旅(連載4)
四月三十日。淡江大学台北校舎で山下聖美准教授の講義「林芙美子と台湾」がはじまる。講義前にりー・ウェンジュ(李文茹)先生から山下さんをはじめ、日本から同行した私達三人(山崎行太郎氏、窪田尚氏、小生)の紹介があった。山崎さんは過激な政治ブログでも活躍中の文芸評論家、窪田さんは詩や絵本作家として活躍、両氏ともに日本大学芸術学部文芸学科の講師も務めている。林芙美子研究プロジェクトの一員として海外へも同行することが多い。山崎さんは大連、窪田さんはサハリンへも一緒に旅行した。
山下さんは、まずは日本大学芸術学部の紹介、日本大学芸術学部図書館の林芙美子研究の足跡、「江古田文学」での林芙美子特集などに触れた後、林芙美子の生涯と代表的な作品(『放浪記』「浮雲』)などに触れ、芙美子文学の庶民のまなざし、鋭い感性などを指摘し、台湾が芙美子における最初の海外旅行先であったことなども紹介した。日本語・日本文化に関心を持つ大学院生たちは熱心に聞き入っていた。わたし自身も山下さんの林芙美子に関する講義をきちんと教室で聞いたのは初めてであったので、感慨深いものがあった。十五年も前、初めてわたしの大学院の授業を受講していた山下さんが、宮沢賢治研究で芸術学博士号を取得し、いまや海外の大学で林芙美子研究者として堂々と、ユーモアをまじえながら講義する光景にわたしはひそかに感動し、涙目になっていた。林芙美子の作品の特質性と生涯の魅力を端的に伝えたすばらしい講義であった。

りー・ウェンジュ(李文茹)先生から紹介される。

日本大学芸術学部の紹介

日芸図書館の紹介

日芸図書館から刊行された『林芙美子の芸術』(清水正監修)と『江古田文学林芙美子特集号(山下聖美編集担当)の紹介

山下さんの講義開始

熱心に聞き入る受講生とリー先生



















講義後、受講者と質疑応答。パワーポイントを駆使したわかりやすい講義で、受講者の理解も的確、日本と台湾をつなぐ心温まる質疑応答でもあった。インドネシア、韓国、中国、台湾、フランス、ロシアへと林芙美子の文学研究が広がる予感を覚えた。