日芸図書館は今年林芙美子の生誕110年を記念して「世界文学の中の林芙美子」展を開催する。

江古田文学」81号(林芙美子特集号)より

林芙美子の文学は世界文学の地平において再検証されなければならない。特に『浮雲』は高く評価されなければならない。現在入手できる林芙美子全集は解題もなく、未収録作品も多く、今後完璧な全集を目指す必要がある。日芸図書館は林芙美子研究プロジェクトを組織し、多角的な研究調査を進めてきている。一昨年『林芙美子の芸術』を刊行し、単なるカタログ誌を越えて、林芙美子の文学に肉薄する論文・エッセイを掲載することができた。今年は第二弾として『世界の中の林芙美子』の刊行を準備している。林芙美子文学の<凄さ>を、日本人は明確に自覚する必要がある。四十七歳で生涯を終えた作家林芙美子の願っていたこと、その願いをきちんと受け止め、受け継ぎ、伝えていかなければならない。わたしはいま四年越しでじっくり、ゆっくり、『浮雲』の世界を放浪している。今年は『「浮雲」放浪記№3』を刊行する。

「世界文学の中の林芙美子」展案内
林芙美子が執筆活動当時に読んでいた世界文学作品の数々を紹介します。芙美子はドストエフスキーチェーホフ、ゴーリキイ、アルツィバーシェフなどのロシア文学作品の影響を強く受けています。また芙美子文学は世界各国に翻訳紹介されています。日芸図書館が所蔵する英語、仏語、イタリア語、韓国語、中国語等の翻訳本や、芙美子の直筆原稿、芙美子原作の映画関連資料(ポスター、バンフレット等)、芙美子の初版本、初出雑誌などを展示します。

会  期   2013年6月25日〜7月26日(金)
    ※ただし日曜日は閉館。7月15日はオープンキャンパスで開館します。
会  場   日本大学芸術学部藝術資料館(西部池袋線 江古田駅北口下車徒歩二分)
開館時間 月〜金:午前9時30分〜午後4時30分
     土  :午前9時30分〜正午
観覧料  無料

なお、展示会に関するお問い合わせは日本大学芸術学部図書館事務課(℡ 03-5995-8206)まで。