『世界文学の中のドラえもん』を読んで・高野璃奈

京都造形芸術大学での特別講座(清水正『「チーコ」「ドラえもん」の読解』)が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』と『チーコ』をダイナミックに解体・再構築しています。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp
 『世界文学の中のドラえもん (D文学研究会)

全国の大型書店に並んでいます。
池袋のジュンク堂書店地下一階マンガコーナーには平積みされていますので是非ごらんになってください。この店だけですでに?十冊以上売れています。まさかベストセラーになることはないと思いますが、この売れ行きはひとえにマンガコーナーの担当者飯沢耕さんのおかげです。ドラえもんコーナーの目立つ所に平積みされているので、購買欲をそそるのでしょう。
我孫子は北口のエスパ内三階の書店「ブックエース」のサブカルチャーコーナーに置いてあります。
江古田校舎購買部にも置いてあります。

「マンガ論」平成24年度夏期課題
わたしの知らない世界
 高野璃奈
わたしは「世界文学の中のドラえもん」をよみました。その中には、私の知らないドラえもんの世界が広がっていました。まず、この本を読んだ感想を述べる前にマンガ論の講義を受けてわたしが得たものを話したいと思います。
 わたしは幼い頃からマンガが大好きです。なぜなら小説のように字がいっぱい列になって並んでいるだけではなく、マンガは絵がありよむだけでなく絵をみているだけでも楽しめる本だからです。わたしはそんな大好きなマンガを題材としている授業が大学にもあることを知ったとき、心が躍るようにワクワクしたのを覚えています。ですが実際に講義をきいてみたら、今まで気がつかなかった見方や考え方を知ると同時に自分の読解力のなさ、考え方の甘さなどを思い知らされました。清水教授は1つのマンガの作品の内容を丁寧に1コマ1コマ細かく読解したものを説明してくれます。今までわたしはそんなに1コマ1コマを重視してマンガを読んだことがありませんでした。マンガ論では1つ1つの作品を掘り下げて教授の持論を講義していくのだろうなと思っていました。けれども、何をどう掘り下げていくのかということを具体的には考えていなかったので、こんなに1コマを丁寧にみていくことが、何回も同じ作品を読んでみても毎回違う作品を読んでいるように楽しめる方法なのだと実感することができ、マンガについて今までよりマンガというものの見方のレパートリーか増えたことをうれしく感じました。今までのわたしは面白いマンガを面白いと思った見方でしかみていませんでした。「こうなっているから面白いのだ!」と勝手に決めつけていました。そのマンガの面白さを一方からみて決め付けていました。けれどもマンガには一方からではなくまた違う方向からみても同じマンガを読んでいるはずなのに違うマンガを読んでいるような面白さがあり、一見よんだだけではわからない世界が存在することを知りました。知れたことでやっと本当の意味でマンガをよむということのスタートラインに立てた気がしました。そんなわたしが「世界文学の中のドラえもん」をよみはじめたのです。
 「世界文学の中のドラえもん」をよんで、わたしはさらにドラえもんというマンガが好きになりました。ドラえもんは最早日本人なら知らない人はいないというくらい日本のマンガ界で大きな存在のもの。ですがそんなドラえもんを第一巻第一話の1コマ目からこんなに細かくのび太の状況をよみ解いた人は世界中でもどれくらいいるでしょうか。わたしはドラえもんというマンガの世界を、この本を読み進めていくに連れてどんどん今までみて知っていたドラえもんは間違っていたような気分になってしまいました。わたしが一番興味を持って読んで覚えているところはP16の[第一貢第一コマの衝撃]の論文です。清水教授の批評衝動を強く感じるマンガは、たいてい第一貢第一コマが全編を予告している、と書かれていました。このことばにわたしはすごく興味をそそられました。まさかマンガの一番最初のたった1コマが物語の結末までをにおわせているなんて考えてもみなかったからです。ここをよんだからこそこの本をよみ進めていきたいと興味深く思いました。
 わたしは清水教授の講義がすきです。ドラえもんに限らず色々なマンガ作品の、わたしがよんだ第一印象的な真実が、教授の研究の積み重ねから得た真実によってまた違った世界が生まれてくることに感動しています。まだまだ色んなところで学ぶ機会がたくさんあって、わたしが知らない世界がまだまだたくさんあることに、いますごくワクワクしています。近頃のわたしは自分の好きなものにしかあまり興味を持って学ぶことができなかったのですが、マンガ論の講義を受けて、いままで読んだことのないようなジャンルのこの課題の本を読んで、よみはじめたら面白いもの、興味が出でくるものもあるんだなと思いました。今まで読んだことのないような種類の本をよんでみたい。これは恥ずかしながら中学生の時以来の意欲のように思います。なので「罪と罰」も今まで読むことに抵抗があったのですが、読んだら、この「世界文学の中のドラえもん」をもっと深くよみこめるだろうし、マンガ論の講義ももっと楽しく受けられるかもしれないと思ったので読んでみようとおもいました。そう思わせてくれたのがこのドラえもんが出てくる本でした。