MRC朗読コンサートVol.7「雪ものがたり3」

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本日は我孫子より「アポロンの地獄」論を執筆しながら上野駅、銀座線で日本橋東西線に乗り換えて神楽坂へ。目指すは神楽坂セッションハウス。放送学科教授の菅原牧子さんが主宰する朗読会。地下の会場は満席。午後四時、菅原さんの挨拶の後、TBSアナウンサーの長峰由紀さんの朗読「おいらん六花」が始まった。榎本百香さんの琵琶と太田豊さんの横笛が朗読と実によくマッチしていた。長峰さんの朗読は吉原に生きるおいらんの情念を時空を超えて伝える力を持っている。続く近藤美矩さん朗読の「夜咄」も、しみじみと胸に迫ってくる。三十分ほどの休憩の後、菅原牧子さん朗読の「心音」が始まった。現世と来世をつなぐ心音は心の奥の奥の扉を開かなければ聴こえてこない。今回の三つの作品は、限られた人生を生きる人間が、来世のかけがえのない人と語り合う作品であった。ひとはたとえ死んでも、残された人間の心の世界とたしかにつながっている。去年、3.11を体験した日本人は、改めて死者の永遠の命と直面することになった。主宰者の菅原牧子さんの故郷は岩手県、このたびの津波によって古里の多くの住民が命を失った。懐かしい思い出の詰まった古里の光景をことごとく奪われ、一時は放心状態にあったという菅原さんが、今再び活動を開始した。「雪ものがたり3」の朗読を聞きながら、わたしは宮沢賢治の作品世界への誘いも感じた。朗読が終わって、菅原さんから出演者の紹介があった。ほのぼのとして心が和んだ。