「マンガ論」「マンガ論」第八回目(2010/6/14)はつげ義春の「海辺の叙景」

ここをクリックしてください エデンの南  清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室   清水正の著作
「マンガ論」第八回目(2010/6/14)はつげ義春の「海辺の叙景」を取り上げた。
一見、抒情的なマンガに秘められた数々の謎を解き明かす。衝撃的な発見。





受講生の感想

女の海パンをはいていることが判明したとき、物語の中の、今日と昨日の間に何かあったのでは、と想像がふくらみました。
(文芸 峯里織子)


セリフや効果音が少なかったり人物がベタ塗りされていたり、海というとキラキラしていて美しいというイメージがあるけど、この作品の中の海は、とても広くて恐ろしい感じをうけて、全体的に不気味というか、不思議な印象でした。
(文芸 三矢日菜)


つげ義春の描く女性は、ことごとく魔性の面を有しているような気がしました。
(放送 山口祐輔)


最初、『海辺の叙景』を読んだ時、さらっと読めてしまった。清水先生が言っていた、ここでの魚は子供で岩の崖は父親で水しぶきを上げる海は女性器を表す母親ということや海は死を表す、というようなことなど思いもしなかった。そう言われてもいまいちしっくりこないというのが正直な感想だが、マンガでも奥が深いと思った。
(放送 目崎光太)


つげ義春の作品は深く読み込んでこそ味があるのだと思えてきました。今回の作品はゾッとする場面が多くて怖かったです。個人的に気になったのは、海の中で唇を青くして寒がっている青年に向かって「カゼをひくからあがりましょ」と一見優しい言葉をかけた女の姿が黒でベタ塗りにされていたことです。あの言葉に裏があることを暗示していたのでしょうか?
(文芸 亀本実世)


遺影の時は「そうなのかなー?」って思って見てたのですが、男性の水着の件はダイレクトに伝わって怖かったです。女の人の笑顔も気味が悪く思えてきました。
初めて読んだ時は女性は蛸なのかなって感じたのですが、どうなんでしょう。
(放送 江越美紀)


「いい感じよ」
この作品を描いた、つげさんに言ってしまいたいです。女って怖いですね。海の深さ=愛ではなく、女の底知れない腹黒さを感じさせられました。怖い。
(演劇 斉藤優衣)


なんだか・・・女って怖いですね。私も女ですけど。つげ義春さんのマンガをやり続けているせいか、だんだんと深読みするように
なってきたようです。でもラストの海で泳いでいるところは、言い知れぬ怖さというか・・・じわじわくる怖さがありました。女には注意しないといけませんね。私も女ですけど。
(演劇 小沼和)


女って怖い!
私もそんな女になりたいです♡
(演劇 石井絵里香)


ねじ式』は一度読んだだけで不気味さを感じることが出来ました。でも今回の『海辺の叙景』は説明されてハッと気付く不気味さ(遺影や主人公の来ている海パン?など)がたくさんあり、私としてはこちらの作品の方が好きです。
隠された怖い部分を認知した時の衝撃というか、驚きがある種の快であるのかもしれません。
つげさんの作品は、隠喩が多くて奥深いですね。
(美術 石井悠子)


毎回授業受けるたびにどんどんマンガが深くなって、おもしろいけどこわい部分もあってほんと、「すごーい」の一言です!!
この方が描いたマンガをだけがこんな風にみえるのか色んなマンガを読みたくなりました。
(放送 佐々木明奈)


サングラスを奪い、タバコを奪い、そして・・・命を奪う。穏やかそうなマンガなのに、とても怖いマンガなんですね。すごく驚きました。
遺影になっているコマは、怖かったです。マンガって、本当におくが深いんですね。
(映画 細田千尋


『海辺の叙景』思っていたよりもおもしろかったです。男の姿アップになると遺影のように描かれているのにはゾッとしました。この女はいったい何者なのか、すごく気になります。
(文芸 粼田麻菜美)


このマンガははっきり言って怖い・・・。最初はさらっと読んでしまったけど、次々と隠された事実が発覚し、だんだんゾッとしてきた。でもこういう気持ち悪いマンガも好きなのでいろいろ読んでみよう思いました。
(美術 横山真優)


初めて読んだ。
1回目の時から男は死ぬのではないかと思っていたが、授業で読み返してみると遺影のシーンをみて確信しました。あと、「体力が・・・なくて・・・苦しい」も、死ぬ前兆だったのではないかと思いました。
(文芸 阿部桜)


何気ない男女間にとても不思議な関係が生まれていて驚いた。サングラスの件で、女が男に返したのかどうかをあえてベタでわからないようにしてある所は、読者に物語を想像させる工夫だと思い、感銘を受けた。
(美術 櫻井ゆきみ)


読解していく小説のようなマンガはとてもおもしろい。
よく見てみると、P62の一コマ目で男が「よしつきあおう」という場面で足首のところが風景と一体化して消えているのが分かり「海=死」に向かっているのがちゃんとうかがえる。
(美術 梅原康平)


「叙景→女景」に感激しました。
最初遺影の話を聞いた時は、「見えるがしかし・・・?」って感じだったんですけど、ラストシーンで命うばわれたって聞いてウォーってなりました。女は海の怪物だったんですよきっと。
(放送 中島範恵)


男が女の最初に着ていた海パンをはいていたのを言われてびっくりした。少しぞくっとした。男が女から命までとられようとしている説明を受けて、“うわっ”と思った。凄く面白い漫画だと思った。
(放送 藤岡晃維)


ちあきなおみさんの「喝采」を思い出した。なんとなく。女が男の命をどうしてとるのでしょう?
妖怪の類なんですかね。ていうのはあんまりない気がしますが。でも避けがたい運命だからこそ、誘いこむあの女はきれいなのかも。
(文芸 菅谷七海)


観る視点が変わると全てのコマが違う意味を持ってくる。海辺ではしゃぐ人々に“ワイワイ”の音の1つもあてなかったつげ義春がカモメの鳴き声はすき間が無い程に描いているのが不気味だ。
(文芸 大野純弥)


男の視線を奪い、嗜好品を奪い、心を奪い、命を奪う。
それが故意なのか、何かに導かれた結果なのか。男女の仲ほど恐ろしく難解で面倒くさいものはない。
(文芸 塚本彬雄)


よく考えると怖い話だなあと思いました。
途中で水死体で発見された女性の話や蛸が人を襲う話は男が女に殺されて死んでしまうことを暗示した伏線なのかなあと思いました。
(文芸 中島沙弥香)


最初はあの女性、もしくは青年がすでに死んだ人として描かれていると思っていた。
磯の香りがするのも死体の話をするのも海でどちらかが死んだからこういった話をするのかなぁと。
女性が道連れ(?)に男性の命を奪ったとしか思えない。あの話の最後でどちらも死んだ人になっている気がする。
(演劇 森永志音)