森哲子さんからの手紙

近況報告

先日、森哲子さんにわたしの著作をお送りしたところ、下記の文章が届きましたので紹介します。林芙美子の文学の偉大さを多くの人たちに知ってもらいたいと思います。

 

清水正先生。

林芙美子ドストエフスキーの著作をお送り頂きましてありがとうございました。

私は、高校2年生の頃から、大江健三郎ドストエフスキーが大好きになり、勉強もせず、寝食も忘れ、若い頃は、本ばかり読んでいました。その後、宇野千代に夢中、宇野千代は、小林秀雄を神様の様に尊敬していました。文学の道を歩いていると宗教の道に、続いていなければならない、ということを何処に、書いていました。若い頃は、失恋をする度に、宇野千代を読み返し、元気をもらっていました。そして、林芙美子、私が身体が震えるほど好きな作家です。艱難辛苦の人生を乗り越えて、逞しく生きる女たち、その哀しみと苦しみ、深くて暗い虚無。《浮雲》の《ゆき子》は酷い女だ。お金を盗んだり、妻のいる男を追いかけ回したり、野垂れ死にして当然。哀れだ。しかし、清水先生は《ゆき子》のことを理解しようとしてくれる。《ゆき子》のことを考えてくれる。清水先生は《ゆき子》のお父さんですか?(笑)

清水正によって《ゆき子》のことが《『浮雲』放浪記》に書かかれたことにより《ゆき子》は救われた。そのことにより、読者も救われる。宇野千代林芙美子の作品は、今話題のAKB48やNGT48の若い女の子たちにも、是非、読んでほしい。もちろん、清水正の《『浮雲』放浪記》と一緒に。

  
   風も吹くなり 
   雲も光るなり
   生きている幸福は
   波間の鷗のごとく
   標渺とただよひ
   生きている幸福は
   あなたも知っている
   私もよく知っている
   花のいのちは短くて
   苦しきことのみ多かれど
   風も吹くなり 
   雲も光るなり