水上滝太郎の『大阪の宿』は傑作である

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https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk
これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。
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今日は日大病院皮膚科で診察の後、大学へ。相変わらずの神経痛と闘いながらの執筆活動を進めている。れいによって電車の中と喫茶店で原稿執筆。「動物で読み解く『罪と罰』の深層」の<虱>の項を書き継いでいる。四十枚ほどになった。
先日、夜中に映画『大阪の宿』(1954年五所平之助監督 脚本五所平之助八住利雄)を観た。偶然観て引き込まれた。この映画はドストエフスキーの『罪と罰』『白痴』の影響を受けている。ドストエフスキーの読者ならすぐにわかるが、わたしはこの映画を今まで知らなかった。脳内原稿でそうとう原稿を書いたが、神経痛でポメラに打ち込む余裕がない。主人公はムイシュキン、宿屋の女将はアマリヤ・リッブベフゼルとカチェリーナ、宿屋の女中たちはナスターシャ、仕立て屋の娘はソーニャなどを反映している。実に面白かったので、さっそく原作の水上滝太郎の『大阪の宿』をアマゾンで購入。昨日読み終えた。わたしはこの小説家の作品を初めて読んだが、ドストエフスキの作品と関連付けて批評したい思いにかられた。林芙美子の『浮雲』の富岡兼吾は和製ニコライ・スタヴローギンだが、『大阪の宿』の主人公三田は和製ムイシュキンとしても読める。ドストエフスキー文学のような事件の連続とか深遠なる思想の披瀝などはむしろ皆無と言ってもいいが、『罪と罰』の女性の中で女中のナスターシャに特別の魅力を感じるわたしは、『大阪の宿』に登場する三人の女中、のちに女中になる二人の女たち、どれをとつても実に面白い。わたしは水上滝太郎という小説家を今まで知らないでいたが、この一作品でのっぴきならない興味を抱いた。大阪の庶民の逞しさ、明るさ、人権などいっさい口にしない女中たちのしたたかさと人生肯定のおおらかさに心打たれる。主人公三田の道徳・倫理観などこの逞しい女中たちの生き様に対抗することはできない。作者の人生を見つめるまなざしにはドストエフスキーの人物たちに見られる過度の興奮はなく、しみじみとした感慨を覚える。『大阪の宿』は大正十四年の作、実に93年の時を刻んでいる。わたしにとっては大発見の作品である。このブログでもまた簡単にではあるが触れていきたいと思っている。
https://www.youtube.com/watch?v=MlzGm9Ikmzk
これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。
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清水正ドストエフスキー論全集第10巻が刊行された。
清水正・ユーチューブ」でも紹介しています。ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=wpI9aKzrDHk

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これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。

清水正の著作はアマゾンまたはヤフオクhttps://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208で購読してください。
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日芸生は江古田校舎購買部・丸善で入手出来ます。