高見沢摂子さんの絵

高見沢摂子さんの絵

今日は昨日に続いて再びあびこ市民プラザで開催されている展示会「第12回 デッサン・ド・ヌーヴ会展」に出かけた。高見沢摂子さんの絵を写真撮影するためである。昨日は高見沢さんと話すことができた。前回の展示会でも注目していたが、展示されている絵の中で最も挑戦的なオーラを放っている。立ち止まってしばし描かれた女を見る。世界に向けて開かれている。が、同時に閉ざしている。欲望と抑制がかろうじてバランスをとっている。挑戦的に見えるのは、私を丸ごと理解できる者などいないだろう、という思いを全身で表現しているからだろう。抱けるものなら抱いてみな、という大胆な挑戦があり、同時に深い絶望をも抱えている。吊り上って瞳を描かれていない女の白い空白な眼は、だがよく世界を見た目である。世界をよく見た瞳が、同時に世界に対して無関心を装っている。何か、とんでもない裏切りにでもあって、世界に参加することを躊躇しているかのようにも見える。瞳の描かれていない両目は女が空虚を抱きかかえていることを示しているが、この空虚は、何か熱いものを欲している。この女の欲求しているものを十分満たしてくれる者はいるのか。女は求めている。が、深くあきらめてもいる。こういう精神状態が続くと、誰しも道化を演じたくなる。この道化が化粧を落として鏡の前に立てば、孤独な白い目の女が現れる。