小林リズムの紙のむだづかい(連載61)

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紙のむだづかい(連載61)


小林リズム

【素で合コンに挑む 前編】

 「うん、うん…へぇー!そうなんですかぁ!」
と上手に割ってテンポよく相槌を打てば、話を聞いていてもいなくてもだいたい乗り切れる。芸能人の誰に似ているとか、好きなタイプだとかを公表し合い、突っ込み合い、持ち上げ合い、終わるころにはドッと疲れていて「あれぇ、あたしなんでここにいるんだろう…?」と我に返るのが私にとっての合コンだった。
 これはもう、被りまくった自分を演出するから疲れるのよ!…と考えた私は、「今度の合コンは素でいこう!」とひそかに思い、思った矢先に30〜40代の社会人との合コンのお誘いがあったのだった。

 ちょっと遅れて参加した個室の居酒屋では、しょっぱなから下ネタトークが飛ばされていた。「えーわかんなーい!」なんて今さらカマトトぶる気はないけれど、耳年増なくせに実体験が伴わないから、具体的な内容についていくのにはかなり嘘をつかなければならない。こういう場合は曖昧にして「もぉーやだぁー!」とソフト突っ込みをする無難なリアクションでイケるはずなのだけれど、なんといっても今回の意気込みはこれまでと違う。
「ここは素で、経験のなさも笑いに還元して打ち明けたほうが親しくなれるかも…」と意を決し、下ネタトークの途中で「処女なう\(^o^)/」と軽快に乗ってみたのだった。みんなあたたかいムードで笑いだし、自分の内に秘めた思いを語って打ち解ける…と思っていたのだけれど、みんなは心をオープンにしてくれなかった。それどころか絶句してドン引き、さらに「可哀想な子」扱いをされるというまさかの展開。

 それでもワタシ、めげなかった。

 盛り付けられた野菜を取り分ける、というお決まりの面倒な仕事も大ざっぱにこなし、他の女子が可愛いカクテルを頼んでいるところでハイボールのジョッキをぐいぐい飲みおかわりを注文。結果「このなかだったら誰と付き合いたい?」という質問や「どんな人がタイプ?」という質問も、主に他の可愛い女子中心に向けられ、私はおまけで「(まあ一応聞いてあげるけど)どう?」と投げやりに聞かれる状況。
 あれぇ?こんなはずでは…。なんかむしろ距離を置かれているのだけれども…とアルコールが脳内をかけめぐっているうちに終電がなくなってしまった。