山本秀麿さん宅を訪ねる

清水正への原稿・講演依頼はqqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。
ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。
ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室  
清水正の著作   D文学研究会発行本   グッドプロフェッサー
十一日、午前十一時過ぎ手塚博行さんと息子の剛司さんに見送られてわたしたち五人はタクシーで山本秀麿宅へと向かった。山本秀麿さんは『梅は匂ひよ、人は心よ 信州を愛した林芙美子(平成20年10月 北信ローカル)の著者で長野県在住の画家である。今年六月、初めて訪問した時には快く取材に応じていただいたばかりでなく、奥さまの手料理で歓待され、わたしたち一同を感激させた。この日はちょうどお昼時の訪問になってしまい、途中、店によって昼食をすませてから訪問しようという常識が働いたが、奥さまの「食べな、食べな」の声が甦り、無礼を承知の上で昼過ぎの訪問とあいなった。この日も奥さまの手料理が次から次へと差し出され、テーブルいっぱいの御馳走をいただくことになった。二回目の訪問だが、いつの間にか家族のような親しさを感じる。「梅は匂ひよ、人は心よ」林芙美子の言葉が山本ご夫妻から直に伝わってくる。ニ時間ほどお邪魔して、わたしたちは山本宅から長野駅まで歩いて帰ることにした。さわやかな信州の空気を胸いっぱいに吸いながら、わたしは塵表閣の女将とそのスタッフたち、手塚博行ご夫妻と息子の剛司さん、そして山本ご夫妻の〈もてなす心〉をしみじみと味わった。一泊二日のあわただしい旅で、お礼をのべなければならない人と会う時間をもてなかったことが心残りであったが、これからの林芙美子の研究に関しては大きな成果を予感させるたびであった。