「マンガ論」は「日野日出志研究」を語る

清水正への原稿・講演依頼はqqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。
ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。
ここをクリックしてください エデンの南   清水正の林芙美子『浮雲』論連載    清水正研究室  
清水正の著作   D文学研究会発行本   グッドプロフェッサー


一月十七日の「マンガ論」は「日野日出志研究」の完成に至るまでの話。この雑誌は「雑誌研究」の機関誌として刊行された学内誌なので市販されることはない。限定三百冊で、日野日出志先生の代表作「蔵六の奇病」と「赤い花」が収録されている。扉の日野先生の肖像画左近士諒先生に椎名町の居酒屋で急遽、無理を言って描いていただいた。いつも飲みの席では穏やかな笑みを浮かべている日野先生の達人剣士の如き厳しい表情をとらえた肖像画となった。装丁はグラフィックデザイナーの森嶋則子さんで、日野漫画の真髄を見事にとらえたうえで、御自身の思いをこめた感動の作品となった。執筆陣は近年、女流作家研究、特に林芙美子研究に情熱を傾けている文芸学科専任講師の山下聖美、音楽学の芸術博士小澤由佳、寺山修司研究の五十嵐綾野、修士課程在学で日芸マスコミ研究会の副会長を務める藤野智士、日野日出志研究家の猫蔵、今や毒蛇通信で多くの読者を獲得している文芸評論家の山崎行太郎漫画評論家で当ブログに「偏愛的漫画家論」を精力的に発表している荒岡保志、装丁を担当した森嶋則子、「マンガ論」と「雑誌研究」受講生などである。去年の暮に執筆陣が集まって江古田で日野日出志先生を囲んで忘年会を兼ねた刊行パーティを開いたが、本当にすばらしい会であった。当日の模様に関しては荒岡保志さんが記事を寄せているので、近日中に当ブログに掲載したいと思っている。尊敬と愛のない仕事はつまらない。今回の雑誌刊行は、学内誌に支給される印刷費以外の金はいっさいかけていない。「日野日出志研究」は心底、日野先生を愛し尊敬している者たちによって刊行の運びとなった。編集発行人の私が誇れることはこの一点にある。そんなこんなを話して新年最初の「マンガ論」を終えた。

受講生の感想
今は自費出版などで昔より本を作れるようになったけど、今日の先生のお話を聞いて一冊の本を作るということはすごく意味のあることだと思いました。
私もこだわり抜いた本をまず一冊作りたいと思いました。
(文芸 佐野友美)

機関紙とは言え、自分の文章が本になるのはうれしかった。熱意に満ちていた時の文章だから、励みになった。自分の文章で初めての経験でした。一年間お世話になりました!!
(映画 星淳哉)

日野日出志賞、うれしかったです。この本、家族と一緒に読もうと思います。
(演劇 小沼和)

「目だけで表紙になる」というひと言が印象的でした。「目が死んでいる」だとか、「生き生きとした目」などと表現されるように、目は生き物を描く上でかなり重要なポイントですよね。
(美術 石井悠子)

今年ゼミ誌委員をやってゼミ誌を作成したので、本が一冊完成するまでの大変さを実感しました。ゼミ誌でこんなに大変なので、原稿料の発生しない仕事やデザインを頼んだりするのは本当に手間もかかるし大変だと思いました。
(文芸 眞柄冬音)

本もらえました。
一年間頑張ったかいがありました。家に帰ってじっくり読みます。
(映画 大関奈緒

利益を求めずに自分の求めるモノを作り、表現する。それにのってくれる仲間たち。カッコイイ大人だと思いました。私もそんな大人になれたらなと思います。
(放送 藤岡晃維)

日野日出志研究」への掲載、大変光栄に思います。載っていた『赤い花』は、表現はグロテスクで非人道的ではありますが、作品づくりの心構えを感じさせました。
(演劇 三田悠希)

日野さんの笑顔を見て、『赤い花』を読むと、人は見た目ではないな、と。内にあるカオスはこわいなぁとしみじみ思いました。
(演劇 齋藤優衣)

本、しっかり読んでみようと思います。本中の『赤い花』マンガだから読めたけど。演劇や映画にしたら、かなり怖いものになると思いました。
(演劇 中小路充弘)

日野さんへの熱意、マンガへの熱意が、この雑誌にすべて表れているのだと思います。
その結晶でもある雑誌、家に帰ってじっくり読んでみたいと思います。
(演劇 丸山詩野)

日野日出志研究』できたんですね!
先生の講義を受け、夏休み一生懸命向き合ったレポートが本になってうれしかったです。
(文芸 吉川萌)

雑誌を1冊作るためには、中身だけでなく、装丁にまで魂や思いが込められていると分かり、これからは表紙からも作り手の気持ちを読み取りたいと思った。
(文芸 伊藤景)

本がすごいなと思いました。
直筆のコメントが載っていてビックリしました。
(放送 大川真澄)

日野さんの顔は、私が想像していた人よりも、ずっとチャーミングで優しそうな方だと思いました。色んな人の感想を読んでいたらみんな自分の専門の芸術にかける熱意がすごいなぁと感心しました。
(文芸 小林里純)

日野日出志研究』の本の完成度の高さに驚きました。そしてその中に私のレポートも掲載していただいて……ちょっと嬉しいです。『赤い花』初めて読みましたが鳥肌が立ちました。『日野日出志アルバム』からは、日野さんの人柄の良さが伝わってくるようでした。
(文芸 亀本実世)

生み出す苦労というのは、老いも若いもない。“本”という形式で世に出すには、創り、装丁し、なお求められなければならない。先立つモノも必要。すばらしい本は美しく見えるのは、それらの結晶だからだろう。
(文芸 塚本彬雄)

たくさんの時間と手間が一冊の本に込められて関わった人たちの思いも込められているということですごく貴重な本だと思いました。
課題頑張ります。一年間ありがとうございました。
(映画 小野寺志織)

一年間を通してマンガ論の授業を受けてマンガというものをひとつの芸術作品としてみるようになりました。深く読んで考えたことが無かったのですが、この授業を通じて作品を掘り下げて読むことを学びました。
(映画 山田麻沙子)

来週で授業がおわってしまうのだと思うと残念です。ジブリが好きなので、授業でジブリのことをしてくれたことがとても楽しく印象的でした。劇をふまえた授業も楽しかったです。あと1回、よろしくお願いします。
(文芸 浅沼杏奈)


日野日出志賞を受賞した小沼和さん