小林リズムの紙のむだづかい(連載367)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載367)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/ )から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。


小林リズムの紙のむだづかい

【ラブメールの返信を促す孫】


 


iPhoneデビューをした祖母(71歳)にメールの送り方を教えている。携帯を買ってから初めてアドレスを変えるという体験をした祖母。長年悩まされていた迷惑メール(主に出会い系)とも晴れておさらばだ。

アドレス変更のお知らせを友達に送りたいというので、口で説明しながら1時間ほどかけて15人の同級生と茶飲み友達(らしい)に挨拶を送り終えた。ほっと一息ついてお茶を飲んでいると、祖母が「りっちゃん、アイホンiPhone)が鳴ってるのよ」と言って持ってきた。
「ああ、これはメールだよ。さっきアドレスの変更メールを送ったから返事がきたんだと思うよ、ほら」
と言って、祖母に送られてきたメールを開封した。

『ご無沙汰してます。おかわりありませんか。アドレスの件了解しました。こちらはいろいろ整理することや、健康上での不具合があり暫く余裕のない生活が続きそうです。今のところ音楽だけが楽しみです。僕の愛聴盤いつか聴いてほしいと思うけどどうかな。ではまたメールします』

おお、なんと…。送り主は男性だ…。

「これ、誰?」と聞く私に、祖母は慌てる様子もなく「ああ、この人はね、私のファンなのよ」と言ってふふっと笑った。
「もしかしてそれって、前にれいこさん(祖母)の絵を描いて送ってきた人?」と聞くと、
「違う人よ。あたしに手紙に送ってきた人」と楽しそうに答えた。
そういえば数年前にそんなような手紙を見せてもらったことがあったような気がする。便箋3枚にわたる手紙で、熱い情熱がどうのこうのといった内容が書かれていた。たしか中学時代の同級生で、同窓会で再会したのだという。スマートで物腰の落ち着いた知的な人らしい。

私が「ねえ、今からこの人に返信を送ろうよ!」と催促すると、祖母は「そうねぇ、面倒だけどそうしようか」と言って返信のやり方を聞いてきた。祖母はゆっくりとメールの本文を打った。「これでいいかしら?」と完成したメールを見ると…

『お久しぶりです。いろいろ大変ね。それではまた』

あまりにもシンプルな祖母のメールに驚愕した。
「えっ…これだけ?もうちょっと違う内容にしたほうがいいと思うよ」
とアドバイスをしたら、もうメール打つの面倒くさいわと投げ出された。

私「これじゃあ、ヒデさん(メールを送ってきた相手)が落ち込むかもしれないよ…」

祖母「もう。じゃあなんてメール送ればいいのよ?」

私「まずは、メール送ってきてくれて嬉しい!っていうアピールするの」

祖母「ええ、そんなの嫌よ。たいして嬉しくないし」

私「……。じゃあ“メールありがとうございます”でいいから…」

祖母はしぶしぶとメールを打ち込む。少しずつ慣れてきたのか打ち込むペースも速くなってきている。

私「それから“いろいろ大変ね”だけだと他人事な感じがして可哀想だから、相手の名前を入れたほうがいいよ。“ヒデさんもいろいろ大変ですね”って加えて」

祖母「ええ、面倒だわ…」

私「あと、ヒデさん音楽のことについて話してるけど……」

祖母「そうなの、この人ショパンが好きらしいわ」

私「それについても返事を…!」

祖母「ショパンねぇ…」

そうこうして出来上がったメールがこちら。

『お久しぶりです。メールをありがとうございます。ヒデさんもいろいろ大変ね。私はショパンノクターンが好きです。また温かい季節に同窓会などでお会いできるといいですね』

…ふう。簡素だけど、最初のメールよりはずっといいと思う。そう思いながら祖母がヒデさんからもらっていたメールをスクロールしていたら、メールの続きに「追伸」があった。

『ところで、シヨバン聴いていますか?』

シヨバン…。携帯で小文字を打ち込むのって難しいよね…と、私は会ったこともない祖母と同級生のヒデさんに親しみを感じたのだった。


 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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