小林リズムの紙のむだづかい(連載363)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載363)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんがエッセイ本をリンダパブリッシャーズ(http://lindapublishers.com/ )から刊行することになりました。本のタイトルは『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄を見てたった八日で辞めた話』発売日四月五日。

小林リズムの紙のむだづかい

iPhoneデビューした祖母71歳】


 

「あたしもね、iPhoneにしようと思うの…」
と祖母が言い出した。御年71歳。スマートフォンに憧れているらしい。年齢も重ていくなか、これから先ますます記憶力が低下して物覚えも悪くなる。今を逃したらもうスマホデビューできなくなるかもしれない…これがラストチャンス…という理由だという。
「でも、スマホってけっこう難しいよ」
「覚えることいっぱいあるし…」
という身内の声を熱意で一蹴し、ドコモショップを闊歩して「iPhoneください」と頼んでいた。パソコンも持っていない祖母はクラウドでもうひとつのアドレスを入手しなくてはならず、パスワード取得にも時間がかかっていた挙句、家に帰ればパスワードを忘れ、アップル社のある銀座まで足を運び「わからないんですけど…」と聞きに行ったらしい。

何がすごいかって、祖母のその情熱もそうだけれど、よくわからない分野でも絶対に自分は間違っていないと思い込み、わけのわからない質問を堂々と尋ねることである。さらに、わからないことがあると自分が悪いのではなく、上手に教えてくれない店員さんのせいになる。「あの店員さん、10分間しか教えてくれないの」「だめなのよ、あのひと。言っていることがよくわからないのよ」とつぶやく祖母。(店員さんにちょっと同情)。けれど、その一挙一動に、なんとなく覚えがあるなぁと思っていた。

そして私は現在、祖母に一からメールの送り方や電話の掛け方をレッスンしている。祖母は熱心に質問をし、メモをとり、繰り返し実践する。

<メールの送り方>
連絡先を押す→アドレスをぽんと押す→本文をぽんと押す→送信ボタンを押す
<ミュージックのダウンロードの仕方>
アイチューンズをぽんと押す→検索をぽんと押す→ダウンロード
<電話の受け取り方>
緑の応答ボタンをぽんと押す→スピーカーのマークを押す→終了を押す

私が言うことを片っ端から律儀にメモをするけれど、メモを見返さないので同じことを何回も質問してくる。そして順序関係なく同じ紙のなかに色んな情報をばらばらに書き詰めるので、何がどこに書かれているのかわからなくなる。そもそも「ネット」って何かわからない。でも山口百恵秋桜の曲の歌詞を知りたい…みたいな状況のなかで、知識の基盤がないまま、気持ちだけが急いていく。

今回ばかりはさすがに私は認めることにした。家族に「れいこさん(祖母)とりっちゃん(私)って性格似てるから…」と言われたことがあったけど、そうかもしれない。私は新しいバイトに勤めるたびにメモをとるけれど、そのときの状況とiPhoneに挑む祖母の状況が酷似している。
「小林さん、そのメモだとちょっと…読み返してわかるかな…?」
と困った顔で聞いてくる先輩たち。
「そんなに慌てなくても、大丈夫だよ」
と諭してくれた上司の方々。
ああ、きっとこれまでの先輩方には相当苦労をかけていただろうなと思った。自分のやりたいことを中心に突っ走り、情熱と勢いだけで挑戦していく…。向こう見ずで行動し、周囲に迷惑をかけながら、決して自分は悪くないとアピールし続けていたあの日々…。

わかったようなふりをしながら、大事な部分がわかっていないという真実。

「だからね。電話がかかってきたときはね、この“応答”っていう部分をタップ…手でぽんって押すの」
という教える私に祖母の書き込むメモ。

<電話を着信したとき>
アイホンをぽんと押す

アイホン……。



 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。