中里介山全集20巻が五千円

柏で唯一残った古書店「太平書林」否、常磐線沿線で唯一残った古書店「太平書林」に寄るのが楽しみとなった。散歩気分で歩いていても古書店に立ち寄るのは特別の思いがある。早稲田の古書店街は学生時代、週に一回は歩いた。今もたまに歩くが、古書店街というよりラーメン街といった感じになってしまった。電子書籍の時代、古本屋がなくなった後には本屋がなくなっていくのだろう。都市に集中した大書店のビルがわたしには蜃気楼にみえる。それにしても全集本の廉価にはなにかせつない感情があふれてくる。先日、早稲田の古本屋街を歩いていて、日本の作家の全集本が、捨てるわけにもいかないのでとりあえず定価をつけておきました、といったあまりにも安い定価が貼ってあって、がくぜんとした。
この間、「太平書林」で購入した中里介山全集20巻が五千円。ガラガラを引いて二回に分けて運んだが腕の関節が痛い。この痛さは、本の重さだけが原因ではなさそうだ。今、定本柳田國男集36巻が4000円で売り出されている。ちなみに小林秀雄全集は二巻欠だが3000円である。