星エリナのほろよいハイボール(連載67)
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『ドラえもん』の凄さがわかります。
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星エリナのほろよいハイボール(連載67)
手話講習会が終わる
星エリナ
実は、五月から手話を習っていた。週に一回、木曜日の朝に、福祉センターでろう者の方と手話を学んでいた。今は簡単な会話ができるようになっている。まだ資格などはとっていないので、自慢になりません。
習ったきっかけは、インディーズバンドのボーカルの人。高校生のころから路上ライブにはまって、毎週夜に大宮や池袋の駅前で路上ライブを見ていた。そのなかで仲良くなったボーカルのショーゴくん。まっすぐな歌声が大好きで、私の話を真剣に聞いてくれる人だった。
彼らは路上ライブだけでなく、大きなショッピングモールなどの特設会場でもライブをしていた。その日、私はいつも通りに友達とショッピングモールのベンチに座ってライブを見ていた。ライブが終わるとバンドのメンバーは自分たちのチラシを持って観客と話をしに行く。営業活動みたいなもの。
ショーゴくんが話に行ったのは、車椅子の男の人と介護をしている方のところ。30分くらい話していたと思う。その後車椅子の男性はショーゴくんたちのCDを買って帰っていった。
「あの人、耳が聞こえないんだって」
営業活動が終わった後、ショーゴくんは話してくれた。車椅子の男性はろう者で、介護している方は手話通訳者だった。ショーゴくんは手話ができるので、その人とコミュニケーションをとることができた。
「オレたちバンドを見て、観客を見て、ライブを楽しんでいたんだって」
手拍子や身体の揺れ方、視覚からの情報で、音楽を楽しむ。それって、どんな感じなんだろう。私たち健聴者には、わからなかった。CDを買ったのは、今度家族に聞かせて、その家族の反応を見てまた今日のライブのように楽しむためだった。
その時までは、聴覚障害は私の知らない世界だった。なんとなく、悔しいと感じた。私が高校で国語数学社会理科英語を習っている間に、ショーゴくんは手話を勉強していたのかな。ショーゴくんはもっと大きな視野で努力していたのかな。
それから、手話の勉強をしようと決意し、市が主催している初心者コースの講習会に申し込んだ。参加者は30名前後。ちなみに私は唯一の平成生まれだった。主婦の方がほとんどで、年上の方との交流の良い機会になった。芸術祭や就活はスケジュールがきつくて辛いけれど、毎週木曜の朝だけは、本当に楽しかった。勉強なんだけど、息抜きのような二時間。
そんな講習会が終わった。無事に修了証書をいただくことができました。最終日はみんなで食事会へ行き、最後だと思うとなんだか寂しくなる。だけど、手話がいつかまたみんなと繋げてくれるような気がしてる。いつかまた再会したときに恥ずかしくないように、手話の勉強は続けていきたい。
いつかちゃんと、資格も取りたいと考えている。
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