小林リズムの紙のむだづかい(連載208)

小林リズムの紙のむだづかい(連載208)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。
清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D

ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/


四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい(連載208)
小林リズム
 【売れないライター、売れないアイドル】
   ちょっと昔。26歳の売れないライター青年はイタリアを旅していた。海外の建築や広場を勉強する、というのが名目だったのだけれど、実際は(たぶん)遊んでいた。だって、海外だし、開放的だし、1年も放浪できるのだからそりゃあ楽しい。そして、そこで18歳の可愛いイタリアンな女性と恋に落ちる。その名もウェンガーさん。年齢も距離も離れた年下の彼女。青年は日本に帰国したときに自らのペンネームを「上川好男」にした。ウェンガーを「上川」と文字り、「ウェンガーが好きな男」&「ウェンガーを好きな男」という意味からつけたらしい。

 …というクサいことをした青年が、現在のわたしの父である。ちなみにわたし、純日本人、ゆえに母はウェンガーさんではなくて、ヤスヨさんです。
 わたしがその話を初めて聞いたのはたぶん小学生のときくらいだったのだけど、そのあまりにものキザっぷりに鳥肌がたち面白かったので今でもよく覚えている。なんかいいよね、売れないライターっていう役どころにもストーリー性があるし、異国の地での恋というのにもロマンがある。とりあえず26歳の父は結婚もしていないし子どももいないしで無敵だったのだと思う。好きなことを好きなようにして自分を養っていた。
 父と同じ編集プロダクションに勤めていた仲間のなかには同じように外人女性と恋に落ちてしまい“この人を日本に連れて帰りたい!”と飛行場まで一緒に行き、税関に引っかかってしまった人もいたらしい。…荷物だって引っかかるのに人間を通そうとしても、そりゃあ引っかかる…。

 今までずっと疑問に思っていた。現実的な母と、遅くまで会社で働く父。高校、大学、就職と、ふつうに生きてきたわたしはどうしてこんなに現実的でない生き方をすることになったんだろうと。けれどこれはもう、血のせいにするしかない。
「ちょっと聞いてよ。お父さん独立して会社つくるとか言い出して…」
という愚痴電話が母からかかってきたのはつい最近。わたしが会社を辞めてオーディションを受けた一連の様子を、面白がって見ていた父が何か触発されたらしい。弟も1年半後には大学を卒業する。そうすれば金銭面でも手が離れる。そういえばこの間弟から「就職どうしようかな…」と相談された。映画好きな弟には脚本を書くセンスがある。
「もうお母さんは知らない…。迷惑かけないでね」と母。
この親あってこの子あり。

 

小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。