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林芙美子研究取材のため長野へ(連載5)
六月二十六日、塵表閣で林芙美子の宿泊していた部屋を美知子女将に案内していただいた後、門の前で記念撮影。窪田さんの車で出発。とは言ってもすぐに下車、一行五人は野猿公苑へと向かった。途中、五月に休憩をとったそば屋「杢兵衛」の田中修マスターに出会い、軽い挨拶を交わして坂を昇りつづけた。公苑内に入ると、ふと屋久島の自然を彷彿とさせる静寂な空間が広がっていた。山道は幅二メートルもないほどの狭さ、左は絶壁、柵もなくスリリングな歩行が楽しめる。三十分ほど歩くと、旅館や休憩所がある開けた場所に出た。その間、たった一匹の野猿に会うこともなく、なんか拍子抜けしていたが、五百円の入場料を払って眼下を見下ろすと何十匹もの猿がまき餌を食していた。子持ちのメス猿が多く、母と子のむつまじい姿が心をなごませる。ゆったりした気分のまま、来た山道を下り、田中マスターの店に寄り生ビールで乾杯。今回の林芙美子研究取材の話で盛り上がる。