日露文化交流としての「清水正・ドストエフスキー論執筆 50 周年」記念イベント 連載3 ソコロワ山下聖美

近況報告

今年も今日で終わり。相変わらずの神経痛の痛みとともに過ごした一年でした。2016年2月に退院してから丸四年間、痛みはまったく変わらず、思うような研究活動もできない状態が続いているが、『罪と罰』については書き続けている。来年中には『清水正ドストエフスキー論全集」第11巻を刊行したいと思っているがどうなることやら。

動画「清水正チャンネル」

https://www.youtube.com/watch?v=bKlpsJTBPhc

池田大作の『人間革命』を語る──ドストエフスキー文学との関連において──」

動画「清水正チャンネル」で観ることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=bKlpsJTBPhc

 

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清水正の著作はアマゾンまたはヤフオクhttps://auctions.yahoo.co.jp/seller/msxyh0208で購読してください。 日芸生は江古田校舎購買部・丸善で入手出来ます。

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これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。

ドストエフスキー『罪と罰』における死と復活のドラマ(2015/11/17)【清水正チャンネル】 - YouTube

 ドストエフスキー曼陀羅」9号刊行

特集 「清水正ドストエフスキー論執筆50周年」記念イベントを振り返る

2019年12月24日に納品。執筆者に手渡しする。

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清水正  小沼文彦  江川卓日大芸術学部文芸学科清水正研究室に於いて 1986年11月14日」)

今回は山下聖美さんの原稿を何回かにわたって紹介する。

日露文化交流としての「清水正ドストエフスキー論執筆 50 周年」記念イベント 連載3

ソコロワ山下聖美


第 43 回国際ドストエフスキー研究集会


  この展示のもと、第 43 回国際ドストエフスキー研究集会が 行われた。初日には、日本におけるドストエフスキーの特集 が組まれ、私は「想像を超える現象としてのドストエフス キー─清水正の仕事─」を発表させて頂いた。大学院生の 坂下さんは自らの研究について発表を行った。この日のメイ ンは、清水正先生のドストエフスキー論全集全 10 巻の展示と 贈呈である。アシンバエヴァ館長が挨拶において何度も、清 水先生に是非、博物館にいらして欲しいとおっしゃっていた ことが印象的だった。
  ちなみにこの展示と研究集会は在サンクトペテルブクク日 本総領事館が主宰する「第 15 回サンクトペテルブルク日本の 秋フェスティバル」の一環として行われており、いろいろな 宣伝もして頂いた。だからであろうか、来場者も多岐にわ たっていた。インターネットテレビ局のインタビューも受け ることとなり、「なぜ日本人はドストエフスキーが好きなの ですか」という質問に清水先生になったつもりで答えさせて 頂いた。ドストエフスキーの専門家ではない私が、こうして 偉そうに振る舞えるのはひとえに、清水先生の存在の大きさであろう。まさに、「虎の威を借る狐」だ。日芸文芸生な らば避けては通れないドストエフスキーの作品。頭を抱えカ オス状態になりながらも、読んでて良かった!   と、今回の 私のように感じる瞬間が学生たちの長い人生の中にもきっと 訪れることであろう。日芸文芸学科で   清水正先生のもと、 四十年以上にもわたって行われているドストエフスキーの授 業は、いつか世界の舞台に立った時に役に立つ、スケールの 大きなものであるのだ。


清水正ドストエフスキー論執筆50周年  清水正先生大勤労感謝祭


  第 43 回国際ドストエフスキー研究集会での発表を終え、私 は一足先に日本に戻り、芸術資料館での展示搬入にいそしむ こととなる。一方で院生の坂下さんは会期の間中すべての発 表を聴講し、充実した時を過ごしていたようだ。後に坂下さ んはサンクトペテルブルクに留学することとなる。このイベ ントの準備を通して、日露の文化交流を担っていく人材が 育っていったことは何よりも嬉しいことである。 ちなみに私もまた、〈生きる日露交流〉のような状態で、東 京とサンクトペテルブルクの往復を繰り返していたが、私の 不在中、大学にてイベントの切り盛りをしていてくれたのが 先に触れた高橋由衣さんと伊藤景さんである。彼女たちのうな優秀な参謀がいなければ、この企画は成り立っていな かったと確信できる。また、夫であるアンドレイ・ソコロフ 氏の協力も絶大なものであった。東京とサンクトペテルブル クに彼らのような心から信頼できる人材がいたからこそ、こ のイベントは成功し、「日露文化交流」も可能になったので ある。
  さて、芸術資料館での展示は順調にすすみ、いよいよ、 十一月二十三日が訪れた。「勤労感謝の日」であるこの日、 展示の特別企画として「清水正ドストエフスキー論執筆 50 周年   清水正先生大勤労感謝祭」のイベントを行うことを発 案した時は、なんというグッドアイディア!   と自画自賛し たものだ。祝日であり、卒業生も来場することができる。ま た、祝日のその日、大学の正面にはまるで清水先生のために といわんばかりに、国旗と学部旗がはためいていた。
  感謝祭の第一部は「今振り返る、清水正先生の仕事」とし て、資料館にて展示の紹介を含む式典を行った。ロシアから は、多大な協力を頂いたマリナ・ウワロワ氏と、アンドレイ・ ソコロフ氏にかけつけて頂き、お祝いの言葉を頂戴した。
  第二部は場所を教室へと移動し、「清水正先生による特別 講演   『罪と罰』再読」を行った。現役の学生、卒業生、教 員、「ドストエフスキー全作品を読む会」の方々、情報を駆 使し清水先生のドストエフスキー講義を聞くために京都大学 からやって来た学生等などなど、聴講者ほぼ全員がドストエ フスキーと清水先生の論を読んだことがある方々であった。
こんな空間で行われる講義は、非常に質が高く、濃密なもの であった。
  式典と講義については、映像記録を残している。現在大手 映像会社で監督として活躍中の髙橋将人さんを中心に撮影 チームを結成し、朝早くからいくつものカメラを回した。一 つ残念なことは、式典と講義が終了した後、清水先生ゆかり の中華料理店「同心房」で行われた懇親会の撮影を予定して おらず、映像記録を残せなかったことである。
  店を貸し切り、それでも入りきれないほどの盛況ぶりで あった懇親会は、笑いと涙にあふれた最高の空間であった。 全員が「一言」自己紹介と挨拶をしたのであるが、これだけ の人数がいながらも最後まで飽きることなく、「次はどんな 人がどのようなことを言うのか」と、参加者の個性に魅了さ れた懇親会であった。
  以上が二〇一八年十一月に開催されたイベントの詳細であ る。清水先生を本場ロシア・サンクトペテルブルクへと飛翔 させるという目的の第一歩を少しでも果たせたのではないか と思っている。次なるステップに進むために、現在、ドスト エフスキー生誕二〇〇年に向けてさらなる計画を練っている 最中だ。清水先生に再びご活躍して頂きながら、日露文化交 流をさらに推し進めていきたい。乞うご期待

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清水正ドストエフスキー論全集」全10巻 ドストエフスキー文学記念博物館に展示

 

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ドストエフスキー文学記念博物館

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「想像を超える現象としてのドストエフスキー 清水正の仕事」を発表する山下聖美氏

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発表後、ロシアのメディアからインタビューを受ける山下教授

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サンクトペテルブルクにあるドストエフスキー文学記念博物館