小林リズムの紙のむだづかい(連載575)



清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。

清水正『世界文学の中のドラえもん』『日野日出志を読む』は電子書籍イーブックジャパンで読むことができます。ここをクリックしてください。http://www.ebookjapan.jp/ebj/title/190266.html


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

小林リズムの紙のむだづかい(連載575) 
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムの紙のむだづかい(連載575)





【終わりにすること】
 



 久しぶりに元彼から連絡がきた。考える時間がほしくて何もリアクションをとらずにいた。けれど、連日続く電話を無視するわけにもいかず、やっぱり彼氏ができたことを言わないといけないなぁと思った。彼とは5年前に別れてからも、どちらからともなく連絡して会っていた。定期的にではなくて2年くらい間が空くときもあったり毎週会うときもあったりして、友達のようなそうではないようなよくわからない関係だった。

 結局1時間だけと決めて会うことにした。改札を出たロータリーに登場した彼を見たらなんだか不思議な気持ちになった。この人のことが好きで仕方ないときがあったんだなぁ、と思ったらすごく変な感じだった。
「最近仕事忙しそうでよかったね」と当たり障りのない話をしながら、彼がバイトをしていたピザ屋さんの前に着いたとき「あ、入れない」と思った。彼のテリトリーに入るのはダメなことだと本能的に感じた。お店の前で気まずそうに足を止めた私を見て彼は困った顔をして、
「リズは彼氏できたんだな」
 と当てられた。どのタイミングで伝えようか迷っていたけど、唐突に言われたから何も言えなくなった。
「見てたらわかるよ、そりゃあ」
 この人は「俺は正義の味方になりたいから役者になる」と言ってしまうくらい単純でわかりやすい人だから、人の変化には鈍感で気づかないと思っていた。そうやって何事も素直に全部口にするところが私と正反対だった。
「うん、だからもう会えないし連絡もできない」
 友達になれると期待して会ったけど、なれそうにない。それならもうここにいてはいけない。
「ごめん、もう帰らないと」
 来たばかりだというのにお店にも入らずに再び駅へ向かう私を彼は怒らずに送ってくれた。中途半端にかっこ悪く生きるなと言われた。言いたいことはきちんと言えとお説教もされた。それから「人生で本当に誰も頼る人がいなくなって辛いっていうときは連絡してこい」とも言われた。そんなときはもうこないから、きっと一生連絡をしない。これで最後なのだ。改札に入ってから呼び止められて、握手を求められた。それから、
「お前、ちゃんと幸せになれよ」
 と言われた。本当にキザったらしい人だ。正義の味方だから自分と関わった人はすべて幸せでなければ気が済まないのだ。そういえば5年前に別れたときにも同じ台詞を言われたなぁ、なんて思い出して「それかなり前も言ってたよ」と話すと「いや、言ってないよ」と返された。覚えてないらしい。おかげで、同じことをまた言わせてしまった自分の愚かさを呪う気持ちが軽減された。
「まあいいや。もう幸せだから大丈夫。じゃあ元気でね、ばいばい」
 罪悪感と喪失感と変な達成感に圧迫されながら、そうか、これが終わりにすることなんだと思った。友情なのか同情なのかなんなのかよくわからない関係の終わり。駅のホームのエスカレータをのぼった。一度も振り返らなかった。



小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21
※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。