「日藝文士會」発足。赤塚行雄に関してなど。

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赤塚行雄の著作

近況報告

4月9日は午前中に日大病院皮膚科。5日に診断された帯状疱疹の治療結果など。幸い順調に回復に向かっているようだ。しかし難病の水疱性類天疱瘡の症状は現状維持、帯状疱疹後神経痛の痛みは相変わらず。診察後、コトブキ調剤薬局で薬を受け取り、東京メトロで池袋、西武池袋線で江古田につく。今年度から全学年江古田校舎での授業。学生数が昨年度にくらべ圧倒的に多い。

「マンガ論」は二百名近い学生が集まり、急遽大教室に変更。日芸創設者松原寛先生の生涯とその理念、日芸魂について語った後、今年度の「マンガ論」の内容とテキストについて話す。

五時限目の大学院の授業を終えて「同心房」へ。この日からこの会を「日藝文士會」と名付け、毎週一回集まることにした。この日、参加者は七名。わたしは文芸学科出身の評論家赤塚行雄について話す。赤塚はわたしが文芸学科二年になったばかりの頃、教授だった三浦朱門と共著で『さらば日本大学』を刊行して大学を去った。

どうして赤塚は大学を辞したのか。この点に焦点をしぼって赤塚の著作のうち26冊を読んでみた。大学改革を迫る全共闘の学生たちに対する大学側の対応や、芸術学部の教員たちの日和見的な対応にあいそうをつかし、三行半を突き付けたということであろうか。大学を離れ、評論家として自立したいという気持ちもあったように思う。わたしは赤塚の著作の八割程度を読み、正直言えば彼は大学に残って戦い続けるべきであったと思う。赤塚の辞任をだれも本気になってとめなかったことを残念に思う。

赤塚は文芸社会学を提唱した評論家で一般読者向けの著作が多い。著作で『罪と罰』なども取り上げているが、粗筋の紹介の域を出てはいない。わたしは文芸研究は徹底して作品(テキスト)に踏み込んでいくべきだと考えているので、赤塚の作品批評に関してはあまり評価できないが、しかしまあ彼のような研究方法があってもいいとは思っている。

赤塚行雄本読書記録

江古田文学 創作と研究」創刊号のシュッキング「文学的審美眼の社会学」(赤塚行雄・藤田勢津子訳)2019-2-24

ヒトラーの魔力 情念の話術――大衆は女である』(昭和46年6月 青春出版社)2019-3-1

『昭和二十年の青空 横浜の空襲、そして占領の街』(2004年5月 有隣堂)2019-3-3

『「罪と罰」の青春史―若者のもう一つの世界―』(1977年3月 大和出版)2019-3-7

『「気」の文化論』(1990年9月 創拓社)※『「気」の構造』補講・改題 2019-3-9

『戦後欲望史 黄金の六〇年代篇』(昭和59年12月 講談社)2019-3-10

『戦後欲望史 転換の七、八〇年代篇』(昭和60年1月 講談社)2019-3-15

『戦後欲望史 混乱の四、五〇年代篇』(昭和60年2月 講談社)2019-3-17

与謝野晶子研究 明治の青春』(1990年8月 學藝書林)2019-3-23

『イヴ引力』(1988年4月 人文書院)2019-3-24

田中角栄の実践心理術』(平成16年7月 日本文芸社)2019-3-25

『ウソをつく力――日本文化の中の女の力』(2014年2月 ポプラ社)2019-3-25

『政治家の器量――田中角栄にあって小沢一郎にないもの』(平成22年5月 日本文芸社)2019-3-29

『港の見える丘物語 マダム篠田の家 YOKOHAMA1945-0』(1989年7月 第三文明社)2019-3-28

『バカの大研究』(昭和54年(1979)5月 青也書店)2019-3-29

『義理と人情』(昭和46年12月 祥伝社)2019-3-29

田中角栄の実践心理術』(平成16年7月 日本文芸社)2019-3-29

恐るべき子供たち――現代少年暴力論考――』(昭和53年4月 山手書房)2019-3-30

『今日だけを走れ――試行的青春論――』(昭和45年6月 虎見書房)2019-3-31(午前4:23)

『逸脱の論理 〈書く〉ことの意味』(1967年10月 新興書房)2019-4-3

『青春VS白秋 予告的白秋考』(昭和50年9月 佼成出版社)2019-4-5(22:45)

『美貌なれ日本 雅子妃の時代』(1993年5月 KKベストセラーズ)2019-4-6(午前3:19)

『人文学のプロレゴーメナ』(2004年4月 風媒社)2019-4-6(18:47)

『人文的「教養」とは何か――複雑系時代の人文学』(1998年4月 學藝書林)2019-4-8

『君はトミー・ポルカを聴いたか――小栗上野介と立石斧次郎の「幕末」』(1999年10月 風媒社)2019-4-9(午前1:9)

『父はピエロか 息子を殴れない男親に贈る本』(昭和56年3月 山手書房)2019-4-9(午前2:59)