志賀公江 ドストエフスキーは読んだことがないけれど

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講演「『罪と罰』再読」2018-11-23

 

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清水正ドストエフスキー論執筆50周年記念  清水正先生大勤労感謝祭」での挨拶 日大芸術学部芸術資料館に於いて。2018-11-2

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これを観ると清水正ドストエフスキー論の神髄の一端がうかがえます。日芸文芸学科の専門科目「文芸批評論」の平成二十七年度の授業より録画したものです。是非ごらんください。
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清水正ドストエフスキー論全集第10巻が刊行された。
清水正・ユーチューブ」でも紹介しています。ぜひご覧ください。
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ドストエフスキー曼陀羅」特別号から紹介します。

 

ドストエフスキーは読んだことがないけれど
志賀公江

 

清水先生、長い間お疲れ様でした。
 
お疲れ様、と型通りのご挨拶を申し上げてはみたものの、 これでドストエフスキーと縁が切れるわけでも執筆活動が終 わるわけでもなく、むしろ時間が有り余るようになれば研究 執筆活動にはさらに拍車がかかるものと思われます。なので 当方には余り実感はないのですけれど。
 
もう、運命の女神様のお導きとしか言いようのないご縁で 日芸文芸学科の非常勤講師の栄誉を賜って以来早十五年の歳 月が流れました。思い起こせば初対面でドストエフスキー宮澤賢治の評論本をドカドカっと渡されて、以後私の本の読 み方が変わり人生そのものが一変してジェットコースターの ように乱高下することになりました。ひとえに清水先生のご教導の賜と感謝すると同時にもはや清水教の信者と申し上げ ても過言ではありません。
 
とは言え。
 
その割にはドストエフスキーは難しすぎてさっぱり読んで はいないのですけれど。 「罪と罰」が何を言いたいのか、遠い昔の青春時代にチラ 見した時には「何を言ってるのだこいつらは」としか思えま せんでした。清水先生の評論に触れてから少しだけ主人公の 気持ちに寄り添ってみて やっぱりどうしても納得で きず黙示録から世界中の神話・伝承・精神文化を経巡って釈 迦やイエスの苦悩まで想像してみたりしましたが結局意味不 明で「凡人にはわからない深い話なのだ」と思ったりしていたこともあります。
 
現在は、私自身お先に定年退職してそれ以後ヒマと脱力と 痴呆の始まりからもう深く考えるのはやめようと思うこの 頃、今まさに評判の日大危機管理能力問題などに触れながら 「人間の罪と罰」って割と単純な話だったのかも知れない、 と思うようになりました。
 
要するに「過ちを改むるに憚るなかれ」ってことなのでは ないでしょうか、と。
 
人は過ちを犯す。それは仕方がない。問題は本人がそれを 「悪いことだ」と自覚しているかいないか。ちゃんと謝罪で きるか。その勇気があるか。
 
大抵の人は「バレなきゃラッキー。こんなのは罪のうちに 入らない」と思って罪を重ねていく。エライ人ほどその責任 が大きくなればなるほど、自らの罪を認めて懺悔することが できなくなる。
 
終わりの日に。  胸を張って自己申告できる自分であるかどうか。「罪と罰」は読んだことがないのですが。 清水先生の終わりの日はまだ先のこと。その前に次回作楽 しみにしております。
 
お身体だけはどうぞお大切に。自分が思っているほど肉体はもう若くはないということをご自覚の上、心は青年のまま で正義の大鉈を。

(しが・きみえ   漫画家、日本大学芸術学部文芸学科講師)