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星エリナのほろよいハイボール(連載95)
沼の色を見る
星エリナ
祖母に会いに福島へ行ってきた。両親は先に向かっていたので、私は兄と2人でドライブしつつ追った。猪苗代町は野口英世記念館が有名で他にも世界のガラス館やビール館などが揃っている。なによりも有名なのはもちろん猪苗代湖だろう。ちなみに私は全部行ったことがある。
実はすぐ近くにもっと人気スポットがある。それが今回私が行った五色沼。磐梯山の北側に位置するから裏磐梯と呼ばれる地域にある沼である。これは1つの沼のことを指すわけではなく、大小数十個の沼郡のことを指す。人気の理由は、約一時間ほどのトレッキングコースがあるからだ。自然の中を歩き、いくつかの沼を見ることができる。森林浴にはもってこい。
さて、ここでなぜ沼なんかを見るんだ、と思っている都会っ子がいるのではないか。実は私もそうだった。猪苗代湖のような湖であれば湖畔を散歩したいと思うが、沼をわざわざ見るなんて……。沼と言われてイメージできるのはドロが底に沈んだ茶色い大きな水溜り。ゲコゲコと泣く茶色いいぼいぼのカエルが出てきそう。
そう思っていたのだけれど、祖母に誘われ二人で歩くことになった。このコースは毘沙門沼、赤沼、深泥沼、竜沼、弁天沼、瑠璃沼、青沼、柳沼を見ることができる。毘沙門沼と柳沼のどちらからスタートしても大丈夫だ。私は毘沙門沼からスタートした。毘沙門沼はなかでも大きい沼で、ボートに乗ることもできる。日焼けしそうなのでやめた。両親は乗って見事に腕を日焼けしていた。
まず毘沙門沼で驚く。全く茶色くない。真っ青でキレイだし、背景には磐梯山が聳える。水は透明で、川底が見え、鯉が気持ち良さそうに泳いでいる。それなのに全体は真っ青。それから赤沼。名前の通り、沼が赤い。次の深泥沼はみどりっぽい。滝沼は滝のように水が流れていて、透明なせいか水飛沫が白っぽい。弁天沼と青沼は本当に美しい水色だし、沼ひとつひとつの色が違うことに驚いた。こんなに美しい沼が存在するのか。沼というだけで汚いと思ってしまっていたことを反省した。
どうやら流入している火山性の水質の影響や、植物・藻の影響で沼の色が変わるらしい。なるほど、五色沼の由来である。足元をちょろちょろと流れる水を見てまた驚く。流れている水が赤く見える。しゃがんでよく見ると、水は澄んだ透明だ。赤いのは水でなく、水が流れている砂利や石だ。石を拾い観察してみる。石自体が赤いわけではない。強く擦ると指が赤くなった。やはり水質の影響で石や沼の藻などに赤いものが付着しているのだろう。自然に驚いて、自然に感動して、とても興味深い一時間だった。
歩きながら祖母の写真を撮ったりしていたのだけれど、自分で言うのもあれだがすごくいい写真が撮れた。それだけで満足だったが、せっかくだから祖母にプレゼントしたいと思い、現在は少しずつ祖母へあげるフォトブックを作っているのだった。
※肖像写真は本人の許可を得て撮影・掲載しています。無断転用は固くお断りいたします。