小林リズムの紙のむだづかい(連載357)

小林リズムの紙のむだづかい(連載357)
清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演などを引き受けます。

D文学研究会発行の著作は直接メール(qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp) で申込むことができます。住所、電話番号、氏名、購読希望の著書名、冊数を書いて申し込んでください。振込先のゆうちよ銀行の番号などをお知らせします。既刊の『清水正ドストエフスキー論全集』第一巻〜第六巻はすべて定価3500円(送料無料)でお送りします。D文学研究会発行の著作は絶版本以外はすべて定価(送料無料)でお送りします。なおД文学研究会発行の限定私家版を希望の方はお問い合わせください。


清水正の著作はここをクリックしてください。

http://d.hatena.ne.jp/shimizumasashi/searchdiary?word=%2A%5B%C0%B6%BF%E5%C0%B5%A4%CE%C3%F8%BA%EE%CC%DC%CF%BF%5D


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/

四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

清水正へのレポート提出は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお送りください。


小林リズムさんが八月九日「ミスID」2014にファイナリスト35人中に選ばれました。
http://www.transit-web.com/miss-id/


小林リズムの紙のむだづかい

【ゲラを手放せない心理】


 

脱稿して、ゲラが送られてきた。ゲラに赤入れをしたら決定稿になる。つまり赤入れを簡単に直したものがそのまま、本になる。私はそのゲラに赤入れをして直すのが最後の仕事なのだけれど、なんかもう、ダメだった。書いたものを読めば読むほど納得いかなくて、赤入れの域を超える量で書き直した。

私が持って行った赤入れ原稿を見て、編集者さんは茫然としていた。こんなのは赤入れではない。赤入れは全ページにびっしりと書き込んである。とてもじゃないけれど対応できない。私は無理を言って、決まっていた原稿を急遽戻してもらうことになった。ほぼ決まっているものを間際で取りやめるから、スケジュールもどんどん押してしまうし、そのために余計にお金の負担もかけてしまった。「小林さんの初めての本だから…」と通してくれた編集さんには本当に感謝している。

でも、戻ってきて直したものをいくら読み返しても、きりがなかった。全部がダメで、こんなのでいいのかという不安しかない。全然ダメなのだ。どう直しても、ダメなものがダメ以上にならない。どうしたらいいのかとパニックだった。
いくら直しても終わりのない原稿をぼうっと眺めながら、「ああ、どこかで折り合いをつけないといけないなぁ」と思った。単純なことだった。これが今の私の実力なのだ。私はふだんから読んでいるプロの作家の文章と比べて、絶望しているだけ。「こんなの本じゃない」と、どこもかしこも直したくなるのは、自分の力を見誤っているからに他ならない。それを認めたくないから、全部やり直したいような気持ちになる。いま、やり直したって私の思っている理想の位置にまで持っていくことはできないのに。

とりあえず、受け入れようと思った。私の今の自分の力でできる、精一杯のことをしたと認めようと思った。でもこれが本当に難しい。「もっとできるはず」とか「こんなんじゃない」という意地やプライドだけが押し寄せてきて手に負えない。だんだん悲しくなってきた。その気持ちのまま、2〜3年前に書いていた自分のブログの文章を読み返した。

今以上に、ひどかった。ありえないくらいにヘタクソだった。

それを見たら笑えた。ほんのちょっとだけ元気が出た。今の自分の力を受け止めようって思った。私は今、自分のできることをした。来年、五年後に実力をつけていたら、もっといいものが書けたかもしれない。でもそれは、今の私がいなければできないことだ。



 小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
http://ameblo.jp/nanto-kana/

twitter:@rizuko21


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