小林リズムの紙のむだづかい(連載110)

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紙のむだづかい(連載110)
小林リズム

【今日は生理なのでプールの授業をお休みします】


 大人と呼んでも差支えのない年齢になった今だから言えるのだけど「あれってやっぱり変だったよね」って思う子どもの事情ってけっこうあって、そういうのをひとつひとつ手に取って振り返っていると「あぁ、大人になってよかったなぁ」とつくづく思うのだった。

 たとえば学校の校則なんかが一番わかりやすくて、どんなにお腹がすいていても寄り道をして食べちゃいけないとか、スカート丈について1センチ単位でとやかく言われることとか、人は見た目じゃないと教えられるわりにちょっとでも髪の毛を染めた瞬間に問題児になることとか、変なことがたくさんあった。

 そんなもろもろのルールのなかで、群を抜いて不満に思っていたのはプールだった。わたしが通っていた学校では、よっぽどの事情(それも診断書付き)がない限り、水泳は絶対参加で、欠席するときには必ず理由を言わなくてはいけなかった。

 わたしはどうしても「生理なのでプールの授業お休みします」という言葉が言いたくなくって、生理になるとわざと水泳道具を忘れたり、無理やり風邪っぽく振る舞っていたのだった。生理なのでプールをお休み?それって詳細に訳すと、「股から血が流れていてプールを汚してしまうし不衛生なので授業をお休みします」と言っているようなものじゃない。なんで、そんな自分の身体に現在進行形で起こっている衝撃的な出来事を他人様に告げないといけないの…!と絶望的な思いに駆られて、夏なんて早く終わってほしいと思っていた。「身体を見られたくない」とか「焼けちゃう」とか、そういう年頃のかわいらしい女子の悩みよりも、ずっとずっと深刻だったのだ。

 プールへの不満はそれだけじゃなかった。頭がミニマムサイズに変貌するあの水泳帽子も好きになれなくって、あれをかぶる度にいつもNHKの教育テレビでやっていた「ストレッチマン」という全身タイツの人間になった気分だった。何が嬉しくてわたしは学校でストレッチマンにならなくてはいけないのか。
 髪の毛が濡れるのも嫌だから、わたしはよく水泳帽子の下にスーパーのビニール袋をかぶっていたのだった。友達に「リズム、ビニール袋が水泳帽からはみでてる!」と言われることもしばしばだったけど、気にしてなんていられなかった。

 …なーんて言っているけれど、繊細な思春期を通り過ぎるとそれはもう嘘のようにあけっぴろげになって、むしろ生理を理由に美味しいとこ取りもできてしまったりして、ああ、大人になるってなんて快適。
小林リズムのブログもぜひご覧ください「ゆとりはお呼びでないですか?」
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