小林リズムの紙のむだづかい(連載26)

清水正への原稿・講演依頼は  qqh576zd@salsa.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。ドストエフスキー宮沢賢治宮崎駿今村昌平林芙美子つげ義春日野日出志などについての講演を引き受けます。


ここをクリックしてください。清水正研究室http://shimi-masa.com/


四六判並製160頁 定価1200円+税

京都造形芸術大学での特別講座が紹介されていますので、是非ご覧ください。
ドラえもん』の凄さがわかります。
http://www.youtube.com/watch?v=1GaA-9vEkPg&feature=plcp

http://www.youtube.com/user/kyotozoukei?feature=watch



画・кёко

紙のむだづかい(連載26)


小林リズム

【婚活パーティーって聞くとゴージャスな感じがするのは気のせい?】



 大学時代に、編集プロダクションでアルバイトをしていた。結構幅広いジャンルを扱っている会社で、美容ネタから原発に至るまで色んな情報を知ることができて楽しかった。あるとき、結婚相談所の冊子を読む機会があった。そこには婚活パーティー開催のお知らせがずらりと並んでいたのだけど、そのパーティー内容があからさまで印象の濃いものばかりだった。
「40代、大人の婚活パーティー」から始まり、「ワンピースが好きな人限定」「サザンオールスターズが好きな人限定」「離婚経験者限定」「犬好き限定」etc
バラエティに富んだ種類に目がくらんでしまう。なかでも驚いたのは「ロングヘアーが好きな人限定婚活パーティー」。いや、自分がロングだから目を惹かれたというのもあるのだけれど。このパーティーに参加したら、髪の毛の長い女性しかいないのか…と想像したら少し気持ち悪い。これって、みんな自分の髪を自慢するような感じでおろしていくのだろうか。「君の髪の毛、素敵だね」「ありがとう、あなたも素敵だわ」なんていう会話が繰り広げられていたりして。
 ひとりごちつつページをめくっていくと、最後のほうに”こういう家庭生活を築きたい”と30人くらいの男女が自己紹介をするコーナーがあった。えー、あのパーティーのコンセプトはなんだったの?というくらい、みんな揃いも揃って「あたたかくて、お互いに尊重し合える幸せな家庭」を欲していた。あたたかい家庭に髪の毛の長さなんて必要ない気がするんだけど。みんな望んでいる生活は同じなのにね、うまくいかないものだ。
 そういえば、髪の毛で思い出した。とある結婚相談所の関係者から聞いたことがあったのだけど、相談所の入会料金には条件によって違うらしい。年齢や離婚歴は当たり前のようにプラス料金になるらしいけれど、ハゲだとか身長によっても値段が割り増しになるのだとか。もちろん、これは入会者側にはわからないようになっているらしい。そりゃあ「あなたはちょっと薄毛なのでプラス料金がかかります」「あと2センチ高かったらプラス料金じゃなかったんですが…」なんて言えないよね。それにしたってシビアだ。結婚相談所という小さな世界のなかで出会うのだから、それこそ運命なような気がするのだけれど、なんだかなぁ…。くさっても、人材紹介サービスっていう感じ。そこに愛はあるんですかね…。なんて考えていたら、この間辞めた会社の経営者が「男が結婚するのは性欲を満たしたいのと家事をしてほしいからや!女中奉公なんや!」と言っていた言葉がふっと頭のなかで再生されて寒気がしたのだった。